飛んだ!! グリッケンハウス「004C」シェイクダウン&チーム活動レポート

ハイパーカー「グリッケンハウス007」はどうなった!?

 予選ぎりぎりの8時にマシンが完成し、グリッケンハウス004Cが順調にスタートを切り、チーム全体とサポートしてくれたみんなが喜んでいたのもつかの間、最初に飛び込んできたラップ・タイムを見て、決勝で他のGT3のマシンと優勝争いをすることは不可能であることが明らかになった。

 理由はレース主催者がグリッケンハウス004Cに課せたBOP(パフォーマンス・バランス)が、あまりにも大きすぎたためだった。しかしレース後にはレース主催者側もそれを認め、改善することに同意するに至った。

新型GT3レースカー、「グリッケンハウス004C」がNLS 5に参戦するため、ニュルブルグリンク到着
新型GT3レースカー、「グリッケンハウス004C」がNLS 5に参戦するため、ニュルブルグリンク到着

「今回のレースでマシンについて、そしてマシンを限られた時間内に修理するという事について多くのことを学びました。搭載された自然吸気6.2リッターV型8気筒エンジン自体は強力で、今回のBOPが課せられた状態でもドッティンガーのストレートでは『SCG 003C(去年のマシン)』と同じぐらいの速度域を記録しています。

 さらにターボ車では見られないような、コーナーからの立ち上がりでみせるトルクの大きさが印象的です。ドライバー達も限界ぎりぎりでのマシンの操作が、SCG 003Cよりもグリッケンハウス004Cのほうが楽だと報告しています。

 我々は最初のラップタイムは8分41秒でしたが、レースを進めていくうちに厳しいBOPであるのにも関わらず、8分18秒まで結果を伸ばすことができました。今後、確実にさらに改善できると確信しています。

 レースの結果は周回遅れで終了しましたが、今回のレースの目的はチームとレース主催者がニュルでの走行距離と走行データの収集することにあったので、それが達成できてとても有意義なレースでした」と微笑むグリッケンハウス氏。

「去年までのレースではピット作業を考慮して、24時間レース中に交換不要の硬めのブレーキパッドを使用してきましたが、新しい規定ではそれぞれのピットストップで6分間のストップが強制的に課せられることになったので、その従来よりも長くなったピットストップの時間を使えばブレーキ交換が可能になるのでもっと制御性能の良い(ピットでの交換が必要な)パッドを使う事も考慮しています」

●グリッケンハウス氏のロードカー

 グリッケンハウス氏にとってのニュルブリングリンクとは、グリッケンハウス社がロードカーの販売を進めるために重要な基盤になっている。

「今回のレースでは我々は顧客のロードカー『SCG 003S』をニュルに持ち込み展示しました。さらにニュル24時間耐久レースではロードカーである『グリッケンハウス004S』をデビューさせ、レースの前にサーキットにてデモ走行させることになっています」

●ニュルブルグリンク以外でのグリッケンハウス004CのGT3レース活動の可能性

 ITR(Die Internationale Tourenwagen Rennen 「国際自動車協議会」)の代表もDTMで提案されているGT3プラスについて、グリッケンハウス・チームの参戦に関して連絡を取っている。

「(DTM + GT3プラスに参戦を希望する)どのメーカーもカスタマー・レーシング・プログラムというものに関心を持っています。しかしそれがカスタマー・レーシング・プログラムである以上、参戦するのはあくまでも顧客自身の車両で、我々ファクトリー・チームのSCG 004Cの参戦の可能性は現時点では考えていません」と、グリッケンハウス氏は語る。

「興味深い点は、DTMの主催者側は、我々のマシンがまだFIA GT3の完全な認可を受けていないのにも関わらずそれを走らせる準備がすでに整っていることです。

 我々はホモロゲーションに十分な台数(200台)のロードカー・グリッケンハウス004Sを生産が達成した時点で公認を求めるつもりですが、現時点では40台の受注を受けている状態です。もちろん、我々のレースカー・グリッケンハウス004Cは、現時点でもGT3カーと対等にレースをおこなえるパフォーマンスに仕上がっています」

●ハイパー・グリッケンハウス007プログラム:ル・マン24時間耐久レースに向けて

 最後に、グリッケンハウス氏に2021年の予定について伺うことが出来た。

「グリッケンハウス007プログラムは順調に進んでいます。全体の空力を微調整するための風洞テストプログラムをさらにもうひとつ用意しています。

 来月初めてテスト・ベンチで最初のエンジンを稼働させ、2021年のシーズンに予定している2台体制のレース・プログラムを実行する準備がすでに整っています」と、グリッケンハウス氏は自信とやる気に満ち溢れていた。今後の動向に注目したい。VAGUEでは、引き続きチーム・グリッケンハウスのインサイドレポートを届ける予定だ。

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