飛んだ!! グリッケンハウス「004C」シェイクダウン&チーム活動レポート

映画監督で脚本家、映画プロデューサーにしてカーコレクターである、ジェームズ・グリッケンハウス氏が率いるスクーデリア・グリッケンハウスが、新型GT3カーをニュルブルクリンクでシェイクダウン。当日の模様をお届けしよう。

グリッケンハウス氏から直接聞いたインサイドストーリー

 チーム・スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)は、2020年のニュルブルクリンク24時間レースへの投入する新型GT3カー「Glickenhaus(グリッケンハウス)004C」をニュルブルクリンクで開催中の耐久レースシリーズ第5戦NLS5(6時間レース)に初参戦し、見事完走を果たした。

プランツガーテンでの華麗なるジャンプ
プランツガーテンでの華麗なるジャンプ

 グリッケンハウス氏と彼の率いるチーム・グリッケンハウスは、8月29日に開催されたNLS 5にて、ニューGT3マシンのグリッケンハウス004Cの初レースを終えたばかりだが、パートナーのPodium Advanced Technology(ポディウム・アドバンスド・テクノロジー)社の支援を受け、2週間後に開催されるニュルブルクリンク24時間耐久レースへの参戦に向けて各準備作業を急ピッチで進めていた。

 そんなチームとして貴重な時間に、グリッケンハウス氏から直接話を伺うことが出来たので、グリッケンハウス004Cがどのようなマシンで、チームが何を目指しているのかをレポート形式で紹介しよう。

●NLS 5 – 6時間耐久レースへの初参戦

 新型GT3レースカー、グリッケンハウス004CがNLS 5に参戦するため、ニュルブルグリンク到着。ニューマシン004Cにとって今回が文字通り初レース。サーキットへ出るまでにやらなければならないことが、依然として山積していたが、それらは基本的には単純なものであるはずだった。

 各ドライバー(フランク・マイルー、トーマス・ムッチュ、フェリペ・レーザー)、そして24時間耐久レースで使用するタイヤのテストおよび登録、レース主催者側が他のSP9クラス(GT3)の車両に対してBOP(パフォーマンス・バランス)を決定するためのいわばテスト・レースのようなもので、チーム全体も比較的和やかなムードが広がっていた。

●まったく予測していなかった問題

 木曜日にテスト・センターでパワーチェックを済まし、リストリクター(エンジンへのエア吸入をしパワーを下げる部品)とバラスト(車重調整用の重り)を選定し、すべて順調のように思われたが、金曜日のニュルブルクサーキットにて練習走行中に大きな問題に直面した。

 問題は、排気音が既定の音量を若干超えているという事であった。読者のなかには「レース・カーに騒音規制なんて意外だ」と思われる方がいるかもしれないが、ニュルブルクリンクでは騒音に対しての規制がかなり厳しいのだ。

 理由はサーキットが自然保護区域にあることもあり、野生動物の生態を考慮し騒音規制があり、レースカーといえどもそれに従わなければならないというわけだ。

「急遽マフラーに多めのワイヤー・ウールを詰め込んで、ノイズ・テストをおこないながらテスト走行をおこなう必要がありました」とグリッケンハウス氏。

 その解決策は、一旦は成功を収め順調にテスト走行を続行できるように思えたが、その後すぐに、さらに深刻な問題を引き起こった。グリッケンハウス氏はそのことを振り返りこう語ってくれた。

「排気系からの背圧が高すぎて、排気系自体が破裂し、その影響でオイルラインが破損しました。

 ドライバーが異常に気付き、ただちにコース脇にマシンを止め、その数秒後に小さな出火が起きてしまいました。気づいたマーシャル達が急いで消火してくれ、そのおかげでマシンに深刻なダメージを与える前に完全に火を消す事ができたのです。

(練習走行)セッション後にマシンをピットへ戻し、エンジンが搭載されている後部全体を分解し組み直すという決断をしました。限られた時間内にマシンを再度組み直すというと大変な作業のように聞こえるかもしれませんが、我々のマシンはモジュール設計になっているので、組織ごとに組み上げる構造になっています。なのでとても効率的で比較的簡単に完了します。……とはいえ、次の日の朝8時までにマシンを完成させるという条件は至難の業で、作業は休む間もなく急ピッチで進められました。

 我々がこの深刻な問題に直面していることを噂で聞きつけた他のチームが、パーツやツールを持ち込み作業を手伝ってくれました。とくに騒音の問題について非常に役立つ排気系のヒントを提供してくれたBlack Falconにはとても感謝しています。本物のスポーツマンとレースをするというのはこういうことで、本当に素晴らしい気持ちでいっぱいです」

 チーム・グリッケンハウスの当日のツイッターには、次のように書き込まれていた。

「予選に出場できるように、排気火災に見舞われた004Cを夜間に修理します。一部の他のチームが、次の日にレースをするのは不可能だと噂しているのを耳にしました。スペアパーツを分けて手伝ってくれたチームBlack Falconに感謝しています」

【画像】「グリッケンハウス004C」の勇姿をチェックする(24枚)

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