混血スーパーカー「パンテーラ」は「F355」より速い!?【THE CAR】

デ・トマソの経営手腕が光った名車「パンテーラ」は、フォードの希望により大量生産が実現した。いわば、デ・トマソとフォードによる混血スーパーカーであるパンテーラを解説する。

「F355」にも負けない「パンテーラ」とは

 正真正銘の駄馬をダービー馬に育てあげることは、いかに優れた調教師であっても不可能なことだろう。

 けれども、ひねくれて育ったもんだからロクに走ってはくれないし、誰も何も期待していなかったけれども、実は由緒正しき種馬の隠し子であった、なんてことが分かって(実際の種馬ではありえないけど)、という馬ならば、十分、競馬界のシンデレラストーリーを実現する可能性があるだろう。

ほかのスーパーカーのおよそ半額のプライスタグをつけて販売された「パンテーラ」
ほかのスーパーカーのおよそ半額のプライスタグをつけて販売された「パンテーラ」

「パンテーラ」こそは、隠れた駿馬だ。

 断言しよう。コイツは名車である。

 これまでパンテーラに関しては、各メディアでいろんなことがいわれてきたし、マニアックな領域においては肯定的な意見も散見された。ここでは名車である理由について、技術的な観点から深く掘り下げるつもりはないし、そもそもスペースも足りない。その話をアレッサンドロ・デ・トマソの生い立ちから書き始めたならば、ゆうに本一冊分になるだろう。

 名車である理由を、実際に取材したこの個体に何度も乗る機会のあった人間の、ナマのインプレッションをベースにして、事実を事実として、シンプルに述べておきたい。

 ちなみに、この「パンテーラL」は、非常に丁寧なレストレーションとグレードアップを随所に施した個体であり、フルノーマルもしくはオリジナルコンディションであるとはいい難い。けれども、クルマのコンセプトや基本構造を変更するような大規模な改造は受けておらず、あくまでも、基本のポテンシャルを現代の技術で磨きあげたというレベルである。いわゆるハイテックやレトロモッドとは一線を画する。

 本個体がパフォーマンス面において、オリジナルよりグレードアップされているのは、タイヤ、ブレーキ、エンジンルーム内補強、多少のエンジンパワーくらいのものだろう。全体の雰囲気をみてもらえれば分かる通り、オリジナルの状態をよく残している。

 このクルマで、たとえばフェラーリの同じV8ミッドシップ2シーターであれば、いったいどのモデルまで相手にできると貴方なら想像するだろうか。

 答えは、「F355」だ。

 加速やハンドリングで、シロウトの駆るF355になんぞ負ける気がしなかった、というと、驚かれただろうか? おそらく、シンプルに最高速ならツラい。F355でも295km/hは堅いから、パンテーラで勝つにはもう少し馬力も、空力的な工夫も必要だろう。

 けれども、リアルワールドでの加速においては、どこまでもラクラクについていけた。焦るフェラーリオーナーの顔が見えるような気がしたものだ。

 高速道路だけじゃない。その辺のワインディングロードでも、ノーマルのF355についていくのはもっとカンタンだった。とくに、コーナーからの立ち上がりが鋭く、履き替えられた極太タイヤのグリップをうまく制御して走らせれば、相手がプロでもないかぎり、離されることなどなかった。

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