ドライビングがスポーツだった!? アナログだけど優れたハンドリングの車3選
近年、クルマの安全性能は飛躍的に向上し、とくにコーナリング時の姿勢制御やブレーキ制御に電子デバイスが介入することで、安全かつスピーディになりました。一方で、ハイテク装備が充実していなかった頃でも、優れたハンドリングのモデルも存在。そこで、アナログだけどコーナリングマシンと評されたクルマを3車種ピックアップして紹介します。
スピードだけでなくドライビングの楽しさを求めたクルマを振り返る
コンピューターの演算速度やセンサーの性能向上によって、近年、クルマの各性能は目覚ましい進化を遂げました。なかでも、能動的な安全性能は劇的に変化したといえます。
各種電子デバイスを搭載することで、出力やブレーキの制御に積極的に介入してタイヤのグリップを最大限に引き出し、車両の姿勢を安定させることで、安全かつスピーディなコーナリングが可能になりました。
一方で、かつてハイテク装備が充実していない頃でも、シャシ性能を高めることで、優れたハンドリング性能を実現したクルマが存在。
そこで、アナログだけどコーナリングマシンと評されたクルマを3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「インテグラ タイプR」
ホンダは1990年に、世界で通用するスーパースポーツカー「NSX」を発売。日本ではバブル経済という背景もあり、1000万円近い高額なクルマにもかかわらず、発売直後には3年分のバックオーダーを抱えたほどです。
スーパーカーながら使い勝手も良く、新世代のスポーツカーとして高く評価されました。
そして、ホンダは1992年にNSXをさらにチューニングした「NSXタイプR」を発売。サーキット走行をターゲットに開発されたため、街乗りが厳しいほどスパルタンなモデルでした。
1995年には3代目「インテグラ」にタイプR第2弾として「インテグラ タイプR」を追加。3ドアクーペと4ドアセダンがラインナップされます。
インテグラ タイプRはNSXと同様にエンジン内部に手が入れられ、最高出力200馬力を誇る1.8リッター直列4気筒VTECを搭載。初期のモデルは手作業によるポート加工も施されていました。
また、ボディ各部の材料を見直し、快適装備を廃止することによって約26kgもの軽量化を実現。
足まわりはスプリングや各ブッシュが強化された4輪ダブルウイッシュボーンで、シャシも各部の板厚アップやパフォーマンスロッドの追加などにより高剛性化が図られ、旋回性能を向上させています。
外装には専用の前後スポイラーと赤地の「H」エンブレムを装着し、内装もレカロ製シートやMOMO製ステアリング、チタン製シフトノブなどを採用してスポーティに演出。
1994年に登場したライバルの三菱「FTO」も優れたコーナリング性能が高く評価されていましたが、トレースコントロール機能やスリップコントロール機能などのデバイスを採用していました。
それに対してインテグラ タイプRは昔ながらのレースカーと同様な手法で高性能化されています。
そして、1998年のマイナーチェンジで「98スペック」と呼ばれる改良がおこなわれ、2001年には2代目インテグラ タイプRがデビュー。
しかし、インテグラはクーペ人気の低迷から2006年に生産終了となり、この代をもってホンダのラインナップから姿を消してしまいました。
●ユーノス「ロードスター」
1989年、マツダが展開していた5つのブランドのひとつ「ユーノス」から、2シーターオープンスポーツカーの初代「ロードスター」が発売されました。
当時、オープン2シーター車は世界的に減少傾向にあり、国内メーカーでは完全に撤退している状況だったため、久しぶりのオープンカー、しかもFRのスポーツカーとあって注目を浴びました。
外観のデザインは往年の英国製スポーツカーをオマージュしたようなフォルムで、丸みを帯びたボディはコンパクトで軽快さが感じられました。
シャシはロードスター専用に開発されましたが、エンジンは既存の1.6リッター直列4気筒をベースに、最高出力120馬力と決してパワフルではありませんでしたが、200万円を大きく下まわる安価な価格を実現し、手軽に乗れるスポーツカーとして国内外でヒットします。
サスペンションはスポーツカーでは王道の4輪ダブルウイッシュボーンを採用。ベースグレードで940kgと軽量かつ高剛性な車体、ハイグリップすぎないタイヤなどの相乗効果で、だれでもファントゥドライブが味わえました。
このロードスターのヒットは世界中のメーカーに波及し、国内のみならず欧州メーカーも次々にオープン2シーターを発売することで、1980年代に消えかかっていたオープンカー文化を再燃させました。
現行モデルの4代目ロードスターは初代のコンセプトに原点回帰し、いまも世界中から愛されています。