最終形態「ランサーエボリューションX」はどう進化?三菱スポーツセダンの歴史に幕

世界ラリー選手権での輝かしい戦績を残した三菱「ランサーエボリューション(ランエボ)」は、惜しまれつつも2016年に生産終了となりました。今回はシリーズ最終モデルとなった「ランサーエボリューションX」を紹介します。

「ランエボX」は誰もが操れるハイパワースポーツ4WDへと進化

 セダンボディに強力なターボエンジンと先進の4WDを組み合わせ、WRC(世界ラリー選手権)をはじめとした数々のレースで輝かしい戦績を記録した「ランサーエボリューション(ランエボ)」。

 1992年の初代から始まった歴史は、2016年に生産終了となった10シリーズ目で幕を閉じました。

 ランエボシリーズの最後を飾った「ランサーエボリューションX」とは、どのようなモデルだったのでしょうか。

三菱「ランサーエボリューションX」
三菱「ランサーエボリューションX」

 当時、三菱が資本・技術提携していたダイムラークライスラーとともに開発された世界戦略用「GSプラットフォーム」を採用して、2007年に「ギャランフォルティス」が誕生しました。

 海外ではそれまで通り「ランサー」の名称を受け継ぎましたが、国内ではギャランフォルティスに吸収されるかたちで、単独車種としてのランサーは姿を消すことになります。

 そのため、ランエボもギャランフォルティスをベースとした第4世代へと移行し、2007年に「ランエボX」がデビューしました。

 なお、それまでのランエボは、WRCなどのホモロゲーション取得のための限定モデル扱いでしたが、ランエボXはカタログモデルになり、合計1万1643台が販売されました。

 全長4495mm×全幅1810mm×全高1480mm(GSR)とシリーズ最大となったボディは、高剛性プラットフォームやデザイン意匠などギャランフォルティスから受け継いでいます。

 エンジンは、長年熟成と改良が続けられてきた「4G63」型ターボエンジンから、オールアルミブロックで軽量化された「4B11」型の2リッターMIVECターボエンジンへと換装。

 2007年モデルは自主規制撤廃後ながら280馬力でしたが、2008年のマイナーチェンジにより、300馬力の大台へと最高出力が引き上げられました。

 また、ランエボXでは、ランエボIX(GSR)に搭載されていた6速MTを廃止し、5速MTと新開発されたツインクラッチSSTを採用します。

 ツインクラッチSSTは、6速自動トランスミッションにふたつの自動クラッチを組み合わせて素早いシフトチェンジと高効率な動力伝達を実現したもので、「DCT(デュアルクラッチトランスミッション)」のひとつです。

 クラッチ操作から解放されて2ペダルとなったことでAT限定免許でも運転できるようになり、それまでのレース向けベース車両という上級者向けモデルから、誰もが操れる高性能スポーツ4WDへと進化しました。

 また4WDシステムも進化し、4輪の駆動力や制動力をそれぞれ独立させコントロールさせる車両運動統合制御システム「S-AWC」を搭載。これに合わせてトレッドもワイド化され、タイヤも245/40R18(GSR)へと大型化されています。

 さらに、GSRグレードをベースに、ビルシュタイン製ショックやブレンボ製2ピースタイプのブレーキディスクを搭載した「ハイパフォーマンスパッケージ」や、フォグランプやメッキパーツを装着した「スタイリッシュエクステリア」、「レザーコンビネーションインテリア」、BBS製アルミホイールを装着した「プレミアムパッケージ」といった、パッケージオプションも充実しました。

【画像】シリーズ完結! 最終進化系「ランサーエボリューションX」とは?(23枚)

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