競争激化で軽が格安で買える? ダイハツとの首位争い スズキ13年ぶりの奪還なるか
ダイハツの主力車種「タント」が伸び悩むとクルマがお得に買える!?
ダイハツもスズキに追われています。2020年7月時点で軽自動車の販売台数は僅差ですから、今後の売れ行き次第では、スズキに軽自動車の販売1位を奪われる可能性もあります。
そしてダイハツが伸び悩む一番の原因は、2019年7月に現行型へフルモデルチェンジしたタントの不調です。
ダイハツの最多販売車種ですから、新型となったタントは売れ行きが急増して当然ですが、好調だったのは2019年の8月と9月だけです。10月には対前年比が4%減り、11月は一旦増えたものの、12月には再び18%減りました。
そこでタントは販売テコ入れのため、実用装備を加えながらお買い得な特別仕様車を2019年12月に加えましたが、それでも2020年1月の対前年比はマイナス6%でした。2月は4%減、3月も6%減り、4月以降はコロナ禍の影響で減少幅がさらに拡大しました。
さらに2020年6月には、タントのベースグレードから装備を取り去って値下げした特別仕様車の「Xスペシャル」まで加えています。
タントの販売が低調なのは残念ですが、割安な特別仕様車の追加はユーザーにとってメリットになります。
軽自動車は多額の値引きを引き出すのは難しいですが、いまのダイハツならカーナビなどディーラーオプションのサービス装着、下取り車の査定アップなど、商談しやすいといえます。
残価設定ローンについて、ダイハツは年率1.5%の低金利を適用しました。2020年9月30日までの限定ですが、粗利の少ない軽自動車で1.5%の低金利は珍しいことです。
一方で、2020年6月にダイハツが発売したタフトは、1か月後の受注台数が1万8000台に達しましたが、販売が好調な軽自動車では珍しい数字ではありません。
タフトの実際の届け出台数は2020年7月時点で6300台ですが、2020年1月にフルモデルチェンジしたライバルのハスラーの7月が8831台なので、それに比べるとタフトは約3割少ないです。
こうなると軽自動車販売1位を守るため、ダイハツは今後もさまざまな販売促進対策を繰り出してくるでしょう。
スズキも対抗せざるを得ず、特別仕様車の追加や各種サービスを積極的に実施することになるとともに、ホンダもN-BOXの国内販売1位は譲れず、同様の販売促進をおこなうものと思われます。
トヨタ「ヤリス」「ライズ」やホンダ「フィット」といった新しい小型車の販売増加も軽自動車の売れ行きに影響を与えるため、2020年後半は軽自動車がますます買い得になることが予想されます。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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