誰もが道を譲った!? バブル時代に憧れた極悪メルセデスとは

いまでは考えられないが、バブル期の東名高速道路では、日中でも常にハイビーム&キープライトで爆走するメルセデスによく遭遇したものである。そうしたメルセデスのなかでも「別格」扱いだった2台のAMGとは、どのようなクルマだったのだろうか。最新オークションでの落札価格とともに解説しよう。

「ちょいワル」どころじゃない「極悪」仕様のAMGとは

 毎年8月、北米カリフォルニア州モントレー半島で開催される「モントレー・カーウィーク」においては、複数のクラシックカー/コレクターズカーのオークションが半島各地で開催される。なかでも規模・格式ともに最高ランクとなるオークションは、RMサザビーズ社の「MONTELEY AUCTION」とされてきた。

 ところが2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「カーウィーク」ともどもキャンセル。RMサザビーズ社は、代わりに「SHIFT MONTLEY」と銘打った、オンライン限定オークションを開催することになった。

 しかし、たとえオンライン限定とはいえ、RMサザビーズ社にとってもフラッグシップ的なイベントとなるモントレーの代替えということで、「SHIFT MONTLEY」は出品車両の台数・内容ともにトップクラス。車種や年代のバラエティも、とても豊富であった。

 今回はそのなかから、1980-1990年代に現在の隆盛を確立した、メルセデス・ベンツとAMGの伝説的なコラボモデル、「ワルな」雰囲気を横溢させる2台をセレクトし、VAGUE読者諸賢にオークション「レビュー」を届けよう。

●1989 メルセデス・ベンツ 560 SEC AMG 5.6 ワイドボディ

グリルやスリーポインテッドスターがブラック化され、異様な出で立ちだった1989年式メルセデス・ベンツ 560 SEC AMG 5.6 ワイドボディ(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
グリルやスリーポインテッドスターがブラック化され、異様な出で立ちだった1989年式メルセデス・ベンツ 560 SEC AMG 5.6 ワイドボディ(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 まず紹介したいのは、1970年代中盤から現在のシュトゥットガルト近郊アファルターバッハに本拠を移し、地理的にもダイムラー・ベンツ社との関係を急速に深めていたAMGが手掛けた、1980年代アイコン的モデルだ。

 バブル期の日本では、なぜかAMGのことを「アーマーゲー」と呼んでいたが、この時代に並みいるスーパーカーたちと同じくらいに憧れの対象となったのが、メルセデス・ベンツ「560SEC AMGワイドボディ・バージョン」である。

 まだダイムラー社傘下に収まる以前の1980年代初頭、AMG社はメルセデス製V8 SOHCユニット「M117」に合わせるDOHCヘッドを開発。ボアアップにより排気量を6リッターまで拡大した「6.0」では、385psという大パワーをマークすることに成功した。

 ただ筆者は寡聞にして、この32Vヘッドが「6.0」専用と思いこんでいたのだが、実は当時のメルセデス・ベンツのスタンダードである5リッター/5.6リッターV8ユニットに組み合わされた車両も、顧客からのオーダーがあれば製作されていたとのこと。今回のオークション出品車両は、後者にあたる「5.6」とされている。

 また「ワイドボディ」を成す、FRP製ながら極めて作りの良いブリスターフェンダーは、この時代「560SEC」ベースのAMGがすべて装着していたわけではなく、あくまでオプションだったとのこと。これは現代のクラシックカー・マーケットでも、相場価格を大きく左右する要素となっているようだ。

 RMサザビーズが公開しているWEBカタログによると、今回の「SHIFT MONTLEY」に出品された560SEC5.6ワイドバージョンは、長らく日本に生息していた個体とされている。

 2016年に、イギリスで1990年代のハイパフォーマンスカーを数多く取り扱うスペシャリストのもとで大規模なリフレッシュが施されたのち、2019年にアメリカに渡ったとのことである。

 メルセデス560SECAMGは、日本国内はもちろん、海外でもクラシックカー・マーケットにFor Saleとして出される事例は決して多くなく、もし出たとしても「Price on Ask(価格応談)」となる場合がほとんど。

 しかしここ数年の国際マーケットを振り返ってみると、日本円換算にして2000万円から、場合によっては3000万円近い価格で推移していたようだ。

 RMサザビーズ社が現オーナーとの協議の上で決定したエスティメート(推定落札価格)は、このモデルを代表する人気色「ブルーブラック」であることも加味してであろうか、20万ドル−25万ドル(邦貨換算約2100万円−2670万円というなかなか強気なものだったが、実際のオンライン競売が始まると、23万ドルまで上昇したところで締め切りとなった。

 さらに、オークショネアに支払われる手数料も含めれば、エスティメート上限を超える25万3000ドル(邦貨換算約2700万円)に達し、たとえ世界が新型コロナ禍のさなかにあっても、依然としてこのモデルがカリスマ的な人気を誇っていることを再確認させられたのだ。

【画像】バブル期の日本で畏れられていた「AMG」とは?(19枚)

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

画像ギャラリー

1 2

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. あの頃の黒塗りベンツなんて、頭にヤのつく自由業の御用達で、AMGでなくても普通の人間は避ける車だろう。(笑)