「カウンタック」と「LM002」同じV12を搭載したランボルギーニがまさかの落札価格!
ランボルギーニの同じV12エンジンを搭載したスーパーカー「カウンタック」とスーパーSUV「LM002」は、現在どちらのほうに価値があるのだろうか。最新オークションの落札価格から考察してみよう。
パガーニがランボルギーニ在籍時代に手掛けた「カウンタック25thアニバーサリー」
毎年8月、北米カリフォルニア州モントレー半島で開催される「モントレー・カーウィーク」では、アメリカだけではなくヨーロッパのオークションハウスも、全力を傾注した大規模オークションがおこなわれるのが恒例となっている。
そのなかで、規模・格式ともに最高ランクとなるのがRMサザビーズ社の「MONTELEY AUCTION」である。ところが2020年は、新型コロナウイルス禍の影響で「カーウィーク」ともどもキャンセルとなり、その代わりに「SHIFT MONTLEY」と銘打った、オンライン限定オークションを開催した。
オンライン限定とはいえ、RMサザビーズ社にとってもフラッグシップ的なイベントとなるモントレーの代替えということで、「SHIFT MONTLEY」は出品車両の台数・内容ともにトップクラス。
今回はそのなかから、ヤングタイマー・クラシック時代を代表する2台のランボルギーニをセレクトした。
ともに1989年に、サンタ・アガタ・ボロネーゼのランボルギーニ本社工場からラインオフした、ちょっと因縁を感じさせる2台に、オンラインオークションではいかなる評価が下されたのだろうか?
●1989 ランボルギーニ「カウンタック25thアニバーサリー」
クラシックカー/コレクターズカーの国際オークションにおけるランボルギーニとしては、ミウラに次ぐスターであるカウンタック(クンタッチ)。だが、今回のRMサザビーズ「SHIFT MONTLEY」では、漆黒の「アニバーサリー」1台のみの出品となった。
ランボルギーニ「カウンタック25thアニバーサリー」は、1988年9月に開催されたランボルギーニのワンメイクイベントにおいて、ランボルギーニ創立25周年を祝う正式な記念限定モデルとして発表された。
イタリアでは「Jubileo(ユビレオ=英語の“ジュビリー”に相当)」とも呼ばれるというこのモデルは、深いエアダムスカートを組みいれたフロントバンパーと、北米輸出バージョンを除くカウンタックとしては初めて設けられたリアバンパー、あるいは最終期の「5000QV」にオプション採用されたものをさらにリファインしたサイドスカートなど、それまでのカウンタックとは一線を画した、1990年代的にモダンなアピアランスが与えられていた。
このアニバーサリーのデザインとエンジニアリングを担当したのは、この時代ランボルギーニ社のデザイナー兼エンジニアとして勤務し、のちに自らのメーカーを起こして大成功を収めることになったオラチオ・パガーニその人である。
当初は限定モデルとして企画され、400台の生産台数が設定されていたというが、発売時期が世界的な好景気にあったことに加え、カウンタックのフィナーレを惜しむ声も多かったのか、途上からカウンタックの最後を飾る正式なファイナルモデルへと昇格したアニバーサリーは、1990年7月に最後の1台がラインオフされるまでに、カウンタック歴代モデルのなかで最大となる657台が生産されるに至ったのだ。
ただ、その生産数の多さゆえにクラシックカーマーケットにおける価格相場は、ほかのカウンタックと比べてしまうと少々低めに推移していたようだ。
ことに今回の出品車両は、もともとUS仕様としてアメリカに輸出されたものを、フロントバンパーやエキゾーストをヨーロッパ仕様に改装したものとのこと。
オリジナル志向の高い現在の国際マーケットでは、マイナス要因となりがちな来歴があるせいか、RMサザビーズ社が設定したエスティメート(推定落札価格)は、25万ドル−30万ドル(邦貨換算約2600万円−3200万円)というかなり控えめな数字となっていた。
そしてオンラインオークションでは、25万ドルまで上昇したところで締め切り。オークショネアに支払われる手数料を合わせても、27万5000ドル(邦貨換算約2900万円)となった。
好天の日だけを選んでドライブを楽しんだという前オーナーのもとに、1997年から所蔵されてきた個体であり、それ以前のオーナーの分を合わせても走行距離は9416マイル(約1万5000km)という、ローマイレージなカウンタックとしては、なかなかリーズナブルな落札価格だったのではないだろうか。
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