在庫わずかのVW最小スポーツモデル「up! GTI」が超楽しい!
VW最小のスポーツモデル「up!」GTIに試乗しました。現在、インポーターの在庫は既に無くディーラー在庫のみの販売となっていますが、探してでも手に入れたい魅力が溢れるクルマでした。
VWにとって特別な称号が与えられたモデル「up!」GTI
「GTI」というアルファベット3文字の綴りは、フォルクスワーゲンにとって特別なものといっていいでしょう。
GTIが最初に姿を現したのは1975年9月にドイツのフランクフルトで開催されたモーターショー。初代「ゴルフ」をベースに高出力化したエンジンを搭載したスポーツグレードで、市販時の出力は110馬力でした。
数値だけをみると決してハイパワーではありませんが、全長わずか3.7mと小さく、車両重量もわずか810kgと軽いハッチバックの初代ゴルフにとっては充分な刺激を与えてくれました。
そんなゴルフGTIは翌1976年に発売されると、瞬く間に人気モデルへ。開発費を回収するための目安として設定された台数は5000台でしたが、累計で46万台を販売する大ヒット車となったのです。
それから40年以上が経過する今でも、フォルクスワーゲンにとって「GTI」は重要なモデルであることに変わりはありません。ゴルフのほかにもひとまわり小さな「ポロ」、そしてさらに小さな「up!」にも設定され、高い人気を得ています。
なかでも今回取り上げる「up! GTI」が特別な理由は車体サイズ。全長は3625mmと初代ゴルフに近く、車両重量もわずか1000kgと今時のクルマとしては驚きの軽さです。そんな「up! GTI」の走りは楽しいと絶賛されていますが、果たしてその走りが楽しい理由はどこにあるのでしょうか。実際に乗って確かめてみました。
エンジンは1リッターの3気筒ターボで116馬力。最大トルクは自然吸気で2リッターエンジンに相当する200Nmあるものの、自慢できるほどのハイパワーではなく、むしろスポーツモデルとしては非力な部類。しかし、走ってみるとこのエンジンならではなの楽しさが詰まっているといって過言ではないでしょう。
それは具体的に、アクセルを踏み込む歓びです。スポーツドライビングの楽しさのひとつはアクセルを力強く踏み込むことですが、パワーがありすぎるモデルはすぐに法定速度を超えてしまうので、ほんの一瞬しかアクセル全開を楽しめません。
しかし「up! GTI」のパワーであれば、法定速度内でも気軽に全開できるのです。エンジンはとりたてて高回転が鋭いとか躍動感にあふれるものではありませんが、アクセルの踏み込みに応じてトルクが湧き出してくる感覚はエネルギッシュで不足のない加速力。
6速マニュアルのトランスミッションにより、ドライバーのテクニックでエンジンの性能をしっかりと引き出しながら運転する爽快さを味わえる、昨今では希少なクルマなのです。
ちなみに公式データでは停止状態から100km/hまでの加速が8.8秒。一般的に10秒を切れば遅いと感じない加速性能といわれていますから、遅すぎず速すぎない、ちょうどいい塩梅ではないでしょうか。
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