在庫わずかのVW最小スポーツモデル「up! GTI」が超楽しい!

活き活きとしたコーナリングで、意のままに操れるドライブフィール

 もうひとつのポイントといえるのは、活き活きとしたコーナリング。サスペンションはハードすぎず、乗り心地もしっかり確保した味付けです。だからスポーツモデルとはいえ特筆すべきほどノーズがシャープに切りこんでいったり、クイックに向きを変えるようないかにもスポーツカーを感じさせるわかりやすい挙動はありません。

フォルクスワーゲン「up! GTI」
フォルクスワーゲン「up! GTI」

 しかし巧みにロールをコントロールするフラットな挙動と安定感、そしてクルマとドライバーの一体感はさすがのひとこと。「とびきり刺激的」というような分かりやすさではなく、ジワジワと良さが伝わってくる感覚です。

 右へ左へとタイトに曲がる峠道で、まるで車幅を肩幅くらいに感じられる軽快な感覚もコンパクトで軽いボディならでは。まるで水を得た魚のようにコーナーを曲がる様子こそが、「up! GTI」の魅力の真骨頂と言っていいでしょう。

 そこには、やみくもにグリップを高めることを狙わず、あえて幅を195と細く抑えたタイヤチョイスも効いているに違いありません。

 安定しつつも軽快なハンドリングに加え、強靭さを感じる車体、そして見た目はたいしたことがないのに強力に効いて頼れるブレーキなど、こうして「up! GTI」を運転してみるとフォルクスワーゲンのこだわりがひしひしと伝わってきます。交差点を普通に曲がるだけでも楽しいスポーツモデルに仕上がっているのです。

 そのうえ、このクルマを所有したくなる理由はほかにもありました。それは伝統的なインテリア。ステアリングホイール(ゴルフGTIなどと共通)やシフトノブ、そしてダッシュボードのパネルに赤を添えているのに加え、シートは初代ゴルフをイメージさせるタータンチェック柄をコーディネートしているのです。このインテリアが、特別なクルマであることをオーナーに伝えてくれるのです。

「強力なエンジンパワーやシャープなハンドリングだけがスポーツモデルの楽しさではない。峠道を走る時はもちろん、街中で普通に運転するたびにドライビングプレジャーを味わえるクルマが本当に楽しいスポーツカーではないか」

「up! GTI」を運転していると、クルマがそんなことを語り掛けてくるような気がします。そんな味に共感できるドライバーにとって、「up! GTI」は、この上ない幸せをもたらしてくれるクルマだと感じました。

 ただ、残念なことに「up! GTI」はすでにインポーターの在庫がなく、残りは販売店在庫のみとなっています。新車を購入できるチャンスはわずかです。

「次にフォルクスワーゲンが小さくて楽しくてMTで操れるスポーツモデルを市販するのはいつなのか?」と考えてみると、探してでも買う価値は、大いにあるのではないでしょうか。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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