「本格始動か」トヨタとAmazon提携拡大 社会全体のデータビジネスにトヨタが本格参入?

トヨタとAWSの提携が業界関係者から注目される理由とは

 トヨタとAWSとの連携の成果は、既販車から得られるビッグデータ解析によって、早期に見える化されていくと思われます。

 これだけならば、さまざまな業界で今回の提携拡大はそれほど大きな話題にはならないでしょう。

 重要なのは、さらにその先です。クルマだけではなく、社会全体に対するデータビジネスに、トヨタが本格参入することにあります。

トヨタのコネクティッド・シティの実証都市「Woven City」(ウーブン・シティ)イメージ図
トヨタのコネクティッド・シティの実証都市「Woven City」(ウーブン・シティ)イメージ図

 具体的な例として、2020年3月24日にトヨタとNTT(日本電信電話)が協業の発表した、街のデータプラットフォームがあります。

 街とは社会全体を意味し、そのなかで乗用車、商用車、公共交通機関など広義でのモビリティや、医療、行政、教育が高度な通信環境で結ばれる、いわゆるスマートシティの構築を目指すとしています。

 実証試験として、富士山麓に建設中のトヨタ「ウーブンシティ」を使うことを明らかにしています。

 こうした社会全体におけるモビリティサービス(MaaS)において、国土交通省は2020年3月に「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」を発表しました。

 このなかで、データ連携を総括的におこなうデータプラットフォーマーとして、国際的な連携を視野に入れることが必須だと指摘しています。

 そうなれば、いわゆる「GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)待ち」になる可能性が高いと思われてきました。

 クラウドという観点では当然、AWSの動向に注目が集まっていたところ、今回のトヨタとの総括的な連携発表となり、「予想はしていたが…」と漏らす自動車・IT・通信業界関係者が多いのです。

 トヨタの豊田章男社長は以前から「トヨタは自動車会社からモビリティカンパニーへと変わる」と将来事業における展望を示してきました。

 AWSとのグローバルでの包括連携は、そうした時代変化の過程で大きな節目になるように思えます。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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