日常、ときどき冒険 Jeep3兄弟をオフロードでガチ試乗!
タウンユース志向の「なんちゃってSUV」が巷に溢れている昨今だが、JeepブランドのSUVは都会的な外観にも関わらず、オフロード性能は本格的。そこで、「レネゲード」、「チェロキー」、「グランドチェロキー」というJeepのエントリーから中核を担う3車種の実力をオフロードで試してみた。
コスパ最高のエントリーモデルでも悪路走破性に抜かりなし!
世界最強の悪路走破性を持つクルマの1台が、Jeep「ラングラー・ルビコン」であるのは紛れもない事実であろう。悪路と向き合って80年近い歴史は伊達じゃない。その間に培った技術と経験が余すところなく注ぎ込まれた、ブランドとしてのトップエンドなのだから。
でも、「そこまでハードコアじゃなくてもいいかな」という人が少なくないのも事実。Jeepはそうした人達のためにSUV風味の強いモデル達をいくつかラインナップしているのだが、それぞれの持ち味をそのままに、ルビコンを除く「ラングラー」とかなり近いオフロード性能を持たせたグレードを用意している。
「トレイルホーク」というサブネームが付けられ、Aピラーの根本に「TLAIL RATED」の文字が刻まれたバッジがマウントされているモデル達だ。
TRAIL RATEDのバッジは、いかにJeepブランドの4WDモデルが優れた悪路走破性を持っているといえど、簡単に与えられるものではない。駆動性、渡河性能、機動性、接地性、地上高などに関する、開発陣が自らハードルを上げに上げた厳しくも過酷な、そして高度なオフロードでのテストをクリアできる性能を確保できたモデルのみが、そのバッジをつけることが許されるわけだ。
唯一ラングラーのみ「トレイルホーク」の名を持つグレードが設けられていないが、それは全グレードがそのテストをクリアしていて、すべてのクルマにTRAIL RATEDのバッジがつけられているから。そんなところから察せられるだろうが、TRAIL RATEDモデルはJeepのなかでも別格的な存在なのである。
「フツーここにクルマで入ろうとは思いもしないよね」と苦笑いを浮かべてしまうような場所に、「レネゲード」と「チェロキー」のトレイルホーク、そしてTRAIL RATEDモデルではないけどかなり高度な4WDシステムを備える「グランド・チェロキー」の3台で踏み込んできた。
●レネゲード・トレイルホーク
レネゲードはJeepブランドのラインナップのなかでもっともコンパクトな、末っ子といえるモデル。ラングラーに通じるところもある丸目のヘッドランプとボクシーなスタイリングではあるが、醸し出している雰囲気は、まるでフレンチブルドッグ。愛嬌があるのだ。
搭載するのは1.3リッターマルチエア直列4気筒ターボ。レネゲードは同じFCAグループのなかにあるフィアットのクロスオーバーSUV、「500X」の姉妹車であり、エンジンもフィアット・パワートレイン・テクノロジーズ社が開発したもの。
眠たいエンジンを嫌うイタリアンの血が混じってるわけで、「ファイアフライ」と呼ばれる最新型のこのユニットは、ヒュンヒュンと元気よく吹け上がる。シャシの方もよく調律されていて、オンロードでは乗り心地も悪くないし、思いのほかスポーティに走ることもできる。
エントリーモデルという位置づけと愛らしいルックスから、オフロード性能は一般的な4WDモデルに近いと思われがちだけど、それはとんでもない誤解だ。
路面状況に応じて任意に5種類のモードを選べるオンデマンド式のセレクテレインと呼ばれるシステムと、並み外れた悪路で必要になる超低速ギアレシオが使えるアクティブドライブローの組み合わせは、素晴らしく頼もしかった。
斜度にしてもぬかるみ具合にしても自分の足では絶対に踏み込みたくない登り坂も鼻歌まじり、濡れた草に足を取られそうな下りもヒルディセントコトロールのスイッチを押せば、まったく難はない。
凄まじく厳しい悪路でも走ろうと思わない限り、4WDモデルとしてのパフォーマンスも充分以上だ。物凄く優秀。ヤンチャに見えるけど、できる末っ子なのだ。
400万円を切る価格帯の4WDモデルのなかでは、おそらくもっとも高いオフロード性能を備えたクルマ。Jeepブランドのなかでもコストパフォーマンスはピカイチ、といっていいだろう。
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