雨天時の恐怖!? 危険な鉄製マンホール 豪雨時は飛び出す危険も 随時対策を実施

道路に設置される鉄製マンホールは、雨の日になると濡れて滑りやすくなり、クルマ、バイク、自転車のスリップ事故に繋がります。こうした危険性も懸念されるなか、どうして道路の真ん中に設置されているのでしょうか。

滑りやすい鉄製マンホールが多い理由とは? 2021年には解決策登場!?

 道路上に設置される鉄製マンホールは、雨の日になると濡れて滑りやすくなり、クルマ、バイク、自転車のスリップ事故に繋がります。こうした危険性も懸念されるなか、なぜ道路の真ん中にマンホールは設置されているのでしょうか。

なぜマンホールは道路の真ん中に設置される? 豪雨時には飛び出す危険性も
なぜマンホールは道路の真ん中に設置される? 豪雨時には飛び出す危険性も

 実際に街中を見渡してみると、鉄製マンホールが設置されている場所の大半は、クルマが通過する道路の真ん中となります。

 道路の各所に設置されている鉄製マンホールは、下水道に関する用途に限ったものではありません。

 なかには、通信会社や電力会社が地下ライフラインを設置するための維持管理上、鉄製マンホールが設置されているケースもあり、設備の保守や管理をおこなうための点検口の役割を果たしています。

 しかし、なぜ道路の真ん中に設置されるケースが多いのでしょうか。これについて、東京都建設局道路管理部の担当者は、次のように話します。

――なぜ鉄製マンホールは道路上に設置しているのでしょうか。

 本来、道路は自動車、バイク、歩行者などが利用することを最優先に設けられているものの、二次的利用として社会インフラを使用する側面を持っていることから、道路に鉄製マンホールが設置されています。

 ただし、鉄製マンホールの設置状況については、道路上に設置しなければならないといったルールはありません。

 そのため、道路だけでなく民有地にも設置することは可能です。しかし、民有地への設置については、承諾を得る必要があるほか、土地を管理している人にお金を支払う義務が発生します。

 さらに、民家や建物などが建設されていると鉄製マンホールを設置することができないため、適した環境とはいえません。

 一方、道路においては、下水や電気などの公共物件を設ける際、一定の要件を満たしたうえで道路管理上に支障がないと判断できれば、道路管理者側が占有許可を認めることを法律で定めています。

 要するに、目立った問題がなければ申請すると必ず認めてくれるため、民有地へ鉄製マンホールを設置するよりもはるかにハードルが低いです。その結果、道路の鉄製マンホール設置が増えている状況になります。

――道路の真ん中やカーブ上に設置されている理由はなんなのでしょうか。

 道路の真ん中に設置されている要因は、ほかの埋設物を避ける必要があることから、スペースの取り合いがおこなわれ、その結果真ん中になるケースが多いです。

 ここでいう埋設物とは、水道管、ガス管、地下鉄、電線類の地中化などがあげられます。したがって、道路管理者側が鉄製マンホール設置位置を指定しているわけではありません。

 道路のカーブ上に鉄製マンホールが設置されている理由は、道路の道順に面して下水道管を通しているためです。

 下水道管は直線になっていて曲げることができないので、道路のカーブに面した際は鉄製マンホールを挟んで別の下水道管を新たに繋げて向きを変えます。そのため、ちょうどカーブに面した場所に鉄製マンホールが設置されているようになるのです。

※ ※ ※

 東京都建設局道路管理部によると、下水管の直線ラインを優先し、道路のカーブを無視して設置が行われた場合、民有地まで突き抜ける可能性があると話します。

 しかし、前述のように民有地では管理費用や許可を得る義務などのハードルが高くなり、その管理も大変であることから、なるべく道路内で収めるためにもカーブに鉄製マンホールが増えることが分かりました。

 なぜ道路の真ん中に鉄製マンホールが設置されているのかは理解できたものの、雨の日に滑りやすくなる鉄製マンホールを採用する理由とはなんなのでしょうか。

 鉄製マンホールを採用する理由について、東京都下水道管理局の担当者は、次のように説明しています。

――なぜ滑りやすい鉄製素材のマンホール蓋が採用されているのでしょうか。

 鉄素材のマンホール蓋を採用している理由は、強度や加工のしやすさが大きな要因です。
 
 また、鉄製マンホールもはじめから滑りやすくなっているわけではありません。マンホール蓋を製造する際、基準となる抵抗値を満たすために、タイヤを走らせたときの滑りやすさを表すBPM数値を図ります。

 この基準をクリアしたものだけが設置されているため、新品のものについては比較的滑りにくい構造になっています。

 ただし、新品であった鉄製マンホールも月日が経てば摩耗による経年劣化を起こし、滑りやすくなります。そのため、東京都下水道管理局側ではこうしたマンホール蓋の交換を徹底している状況です。

――クルマ、バイク、自転車などのスリップ事故において、何か対策は取り組んでいますか。

 2020年度までに設置している鉄製マンホールとは別に、現在より滑りにくいマンホールを開発しているところです。

 従来のものに比べ、マンホール蓋に突起を増やしたことで、雨の日でもあっても滑りにくい構造を実現しています。こちらの導入は、2021年度から順次交換していく予定です。

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