雨天時の恐怖!? 危険な鉄製マンホール 豪雨時は飛び出す危険も 随時対策を実施
滑るだけじゃない! 豪雨時には飛び出す危険性も
雨の日による鉄製マンホールのトラブルは、スリップ事故だけではありません。
ゲリラ豪雨など、大雨の日にはマンホール蓋から噴水のように水が吹き出したり、マンホール蓋が吹き飛ぶこともあります。この吹き飛んだマンホール蓋がクルマに当たるといった事故も起きています。
天気情報サイトによると、1時間の雨量が50mmを超える雨が降るとマンホール蓋が吹き飛ぶ可能性が高くなり、こうした現象を「エアピストン現象」と呼びます。
大雨によって下水道内に流入する雨水が溢れると、下水道管内にあった空気が鉄製マンホールの穴のなかで圧縮され、40kgから50kgあるマンホール蓋でも吹き飛んでしまうのです。
この件について、前出した東京都下水道管理局の担当者は、次のように話します。
「水に圧縮されてマンホール蓋が飛ぶ現象を防ぐために、エアを逃がす装置を付けたGLV蓋というマンホール蓋を随時導入しています。
現在、東京都23区内には約50万箇所の鉄製マンホールが設置されており、うち3000箇所はGLV蓋を設置している状況です。
この3000箇所は、とくに蓋飛びの危険性が高いとされる場所になります。GLV蓋を導入した箇所については、蓋が飛ぶことはありません。
ただし、エアが抜けることで水位が上がるため、下水が上がってきて冠水しやすくなります」
このように、近年のマンホール蓋は、エア抜き用の穴が空いたタイプ、蓋を一定以上浮上させて隙間を作ることで空気を排気させるタイプなども登場しているためエアピストン現象は減少傾向にあります。
さらに、2018年におこなわれた経済産業省の発表では、近年の集中豪雨によるマンホール蓋の老朽化対策にあたり、「日本工業規格(JIS)」によって鉄製マンホールの規格改正が取り組まれました。
その内容は、維持管理などに関する要領を追加されるほか、国内に設置されるマンホール蓋2割(約300万個)の耐久年数が過ぎた老朽化問題への対処に取り組んでいます。
これに加えて、「圧力解放耐揚圧機能」が追加された新しいマンホール蓋の規格も誕生しています。
この圧力解放耐揚圧機能は、マンホール蓋の下から受ける空気圧や水圧を逃す仕組みを持っているのです。これにより、大雨の水圧によるマンホール蓋の吹き飛びを防ぐことができます。
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雨の日に滑りやすい鉄製マンホールですが、道路は設置環境として適していることから、数多くのインフラ社会に利用されて、道路の真ん中に設置されているケースが目立っているのです。
また、管理局側もこうした問題を解決するべく、雨の日でも滑りにくい構造に特化したマンホール蓋の導入に努めています。
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