ライバル勢に押され気味の「プリウス」 それでもブランド力を維持するワケ
2020年7月の一部改良が販売動向に影響?
前述の2020年7月1日に実施された一部改良では、「Toyota Safety Sense」において、「プリクラッシュセーフティ」の検知範囲拡大や「レーダークルーズコントロール」の機能向上がおこなわれました。
さらに、新しく追加された機能には、道路標識の見落としを減らすための「ロードサインアシスト(RSA)」、先行車の発進を知らせる「先行車発進告知機能」が挙げられます。そのほか、「インテリジェントクリアランスソナー(パーキングサポートブレーキ)」も全車に標準装備されました。
そして、トヨタで初めての採用となる「プラスサポート(急アクセル時加速抑制)」も追加されています。
これは、右折時や一時停止後の急加速をする状況をのぞいて、アクセルの踏み間違いとされる急加速時に障害物がなくても加速を制限し、踏み間違い事故の軽減を図る機能です。
同時に、今回の一部改良と合わせて、さらなる安全・安心機能を充実させた特別仕様車「S“Safety PlusII”」も新設定されています。
今回の一部改良によってプリウスの直近販売動向に影響を及ぼしていることはあるのでしょうか。前出したトヨタ販売店の担当者は次のように話します。
「一部改良を遂げたことで、より安全性の高いクルマへと生まれ変わり、これまでのプリウスよりも問い合わせの数は増えている状況です。
ただし、実際の納車台数については、まだ数少ない状況になります。したがって、一部改良モデルが直近の販売台数に大きな影響を与えているということは考えられません。
また、6月から7月にかけて台数が伸びた背景には、工場の生産ストップが関係しています。今回の一部改良に向け、5月末からプリウスの工場では生産をストップしており、一部改良モデルが販売開始された7月1日から再び稼働しました。約1か月間生産ストップしていたことで納車のズレが生じ、7月の販売台数に影響が出ているのです」
日本自動車販売協会連合会の販売台数ランキングは、納車(登録)後の台数が反映されており、いまだ納車台数の少ない一部改良モデルによる7月の月間販売台数への影響は非常に少ないことが分かりました。
国内市場でのプリウスは、数多くのライバル勢に押されて販売台数が伸び悩んでいました。
一方で、中国やヨーロッパ圏などの排出ガス規制の厳しい地域では、ガソリンと電気を使ったハイブリッド車として非常に高い需要を集めているとようです。
したがって、一部改良ではトヨタ初の先進技術を真っ先に採用するなど、メーカー側がプリウスに力を入れている姿勢はいまだ変わりません。
さまざまなライバル車の登場により、販売台数ランキングの順位下落が目立っていたプリウスですが、2020年もなおトップ20以内には位置づけています。
その大きな要因は、初代モデルから培ってきた知名度や安定した性能性が大きく関係しているほか、一部改良により安全性や先進性にさらなる磨きがかけられたことで、今後の販売動向にも目が離せません。
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