まだ1年待ち!? ジムニーの長い納期 ライバル勢登場でユーザーは心移りしない?

スズキ「ジムニー」がデビューして2年が経ちましたが、その納期は依然として1年以上かかるとされています。納期が縮まらない理由には生産上の都合のほかに、スズキの企業理念が影響しているようです。

ジムニー納車までいまだ1年待ち…一体なぜ?

 スズキ「ジムニー」は2018年7月にフルモデルチェンジを果たしました。当初から納期の長さが話題となっていましたが、スズキの販売店に確認すると、フルモデルチェンジから2年経った2020年8月時点でも、納車までに1年3か月ほど掛かるとしています。

納車1年待ちでも構わない! 多くのファンに愛されるスズキ「ジムニー」
納車1年待ちでも構わない! 多くのファンに愛されるスズキ「ジムニー」

 もちろん、新型コロナウイルスの影響も少なからあり、海外から調達している部品が不足し、2020年4月には国内工場のすべてが操業停止となっていました。

 しかし、新型コロナウイルスの影響はジムニーに限った話ではありません。ジムニー特有の事情として、スズキの販売店は「おもに海外を中心に想定を上回る需要があり、生産が追いついていない」と説明します。

 単純に考えれば、これほどまでに人気なのであれば、生産台数を増やせばよいと思うかもしれません。納車までに1年もかかるというのは、メーカーの怠慢と思うユーザーもいるでしょう。なぜそれができないのでしょうか。

 現在、ジムニーおよびジムニーシエラは、海外向けを含めた全数を静岡県の湖西工場で生産されています。しかし、湖西工場で生産しているのは、ジムニー/ジムニーシエラだけではありません。

 湖西工場では「アルト」「ワゴンR」「ハスラー」といった主力の軽自動車を生産しています。ジムニーの生産を増やすということは、こうした主力車種の生産を減らすということにもなるのです。

 スズキの販売店は次のように話します。

「ジムニーシリーズは確かに人気ですが、どちらかというと現状は趣味のクルマとしての需要が高いです。一方で、アルトやワゴンR、ハスラーをお求めになるのは、日常の足として今すぐに必要とされている人です。スズキには、『地方の移動を支える』という理念があるため、そうしたクルマの生産を優先しています」

※ ※ ※

 確かにジムニーは人気という印象ですが、絶対数でいえばアルトやワゴンR、ハスラーといった主力車種に遠くおよびません。

 ジムニーを優先させた結果、ほかのクルマの生産が減ったり滞ったりすることは、スズキの理念に合わないということのようです。

 もちろん、ジムニーも趣味のためのクルマではなく、林業従事者など日常的に悪路などを走るユーザーが想定されています。

 そうしたユーザーを必要以上に待たせることのないよう、スズキではインド工場でもジムニーを生産し、供給量を増やす努力をしています。

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