トヨタ新型「ヤリス」の敵は身内にあり!? 販売9年目「アクア」が今も選ばれる理由とは

近年はコンパクトSUVもライバル?

 一方、近年ではコンパクトサイズのSUVの人気も高まってきています。

 前出の2020年上半期の販売台数ランキングにおいて、首位を獲得したのは2019年11月に発売されたトヨタ「ライズ」でした。

 ライズは、ボディサイズが全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mmと、ヤリスやアクアをはじめとした、国産メーカーの人気コンパクトカーに近いボディサイズを持ちます。

 搭載されるパワートレインは1リッターターボのみで、ハイブリッドの設定はありません。ライズは2020年上半期に5万8492台の販売台数を記録しました。

 2位以下にランクインしたなかでのコンパクトカーの順位も見ると、2位の「カローラ」に次いだ3位の「フィット」は、販売台数5万29台を記録。4位のヤリスを約2000台上回っています。

 フィットには、SUV風グレード「クロスター」がラインナップされます。これは、通常のフィットに比べて最低地上高の拡大や、フェンダーアーチ(樹脂パーツ)の装着、全幅の拡大などがおこなわれています。

 フロントグリルも専用となり、通常のフィットと比べてよりアクティブな印象となっています。

 そしてアクアにも、ライトなアウトドアテイストが特徴の特別仕様車「グランパー」や、最低地上高が拡大された「クロスオーバー」というグレードが設定されている状況です。

トヨタ新型「ヤリスクロス」
トヨタ新型「ヤリスクロス」

 そんななか、新型ヤリスは需要の高いSUVカテゴリに対して、ボディ自体が異なる新型「ヤリスクロス」という派生モデルを用意することでユーザーへアピールします。

 新型ヤリスクロスは、ボディサイズが全長4180mm×全幅1765mm×全高1590mm。搭載されるパワートレインは1.5リッターガソリンと1.5リッターガソリン+モーターのハイブリッドです。

 外観は、シンプルながらもタイヤの踏ん張り感が感じられ、SUVらしさを感じるデザインとなっています。

 すでに予約受注はスタートしており、前出のトヨタの販売店スタッフに話を聞くと、「SUVの新型車ということで期待しています。新型ヤリスを見に来たお客さまに新型ヤリスクロスを案内すると、心変わりして新型ヤリスクロスを予約する方もいます」と話します。

 その一方、フィット クロスターをラインナップするホンダの販売店スタッフに話を聞くと、次のように話します。

「最近のお客さまの声を聞くと、結局SUVに走破性を求めるお客様はほぼいません。みなさん、見た目のカッコよさで選んでいます。

 お客さまのカッコよさの基準としては、背が高く、タイヤも大きくてゴツい見た目(SUVらしい見た目)が評価されることが多いです。

 フィットでも、SUV風の外見を持つクロスターというグレードが設定されているくらい、SUVらしい見た目自体に人気が集まっています」

※ ※ ※

 販売台数ランキングにおいては、コンパクトSUVとも順位を争う存在である近年のコンパクトカーですが、『見た目が重要』ということはどちらも変わらないようです。

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