最強のトヨタ「スープラ」爆誕! トムスが手掛けた1423万円の限定車の正体とは
TOM’Sスープラはノーマルよりも乗りやすい!?
TOM’Sスープラの試乗は一般道と高速道路でおこないましたが、当日は豪雨。ハイパワーFRにとっては最悪なコンディションでしたが、第一印象は「あれっ、ノーマルよりも乗りやすい」でした。
チューニングカーにありがちな尖ったところはまったくなく、むしろ意図的なじゃじゃ馬感を備えたノーマル(2020モデル)よりも洗練度が増した乗り味だと感じました。
ステアフィールはダイレクト感を損なわずに、薄皮一枚を上手に挟んだかのような穏やかさと重厚さをプラス。
サスペンションはストロークが増したかのようなシットリとした足さばきと、クイックさを抑えながらも人間の感覚に合わせた一体感と連続性のあるクルマの動きと自然なロール、そして4つのタイヤをより効果的に使っていることがわかりやすいなど、「より自然に」、「より裏切らない」、「より扱いやすい」なハンドリングに調律されています。
さらに乗り心地は、20インチということを忘れるくらいの優しさで、リアルスポーツカーながらもプレミアムカテゴリーに足を踏み入れたレベルです。
パワートレインは+120馬力の力強さはもちろんですが、それよりも数値になかなか表れない部分に徹底したこだわりを感じたことです。
具体的には一般道での扱いやすさや高速道路の追い越しなどでアクセルを踏んだときのツキの良さ、スムーズなのに回すほどに力強さが増す特性、レッドゾーンを超えて回っていきそうな伸びの良さなど、よりスポーツエンジンらしさが増したように感じました。
同じモデルをサーキットで試乗したプロドライバーに聞くと、「ノーマルは独特の癖があるが、TOM’Sスープラは尖った部分がなく自然な動きで扱いやすい。だから、どんな路面、どんなコンディションでも安心して楽しめる。これは『クルマが好きな人が造っている』、『クルマをわかっている人が仕上げている』ということが、クルマの仕上がりから理解できた」と語っています。
TOM’Sスープラはチューニングカーというよりスープラの特別グレードといってもいいと思います。
「中身は本気だけど、普段はそれを声高らに主張しない」といったような部分は、普段は質が高い繊細な乗り味ですが、一たび鞭を入れるとリアルスポーツに変貌する「アルピナ」と同じような香りがしました。
先日、改良が加えられたスープラ 2021モデルのノーマルに試乗しましたが、走りはTOM’Sスープラの方向性に近い“深化”を感じました。
TOM’Sスープラの価格は1423万円と、ノーマルの倍以上のとなるプライスですが、現時点でのGRスープラのひとつの理想形ともいえる走りと特別なエクステリアを備えている事を考えると、適正かなと考えます。
限定99台のTOM’Sスープラですが、注文がかなり入っているそうです。気になる人はお早目に。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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