スカイラインGT-Rを超えるのに10年かかった!? 牙を抜かれた頃の国産車5選

現在のクルマはクリーンな排出ガスで燃費が良く、高性能なモデルも数多く存在します。一方で、かつては排出ガス規制の強化で、パワーダウンを余儀なくされた頃もありました。そこで、1970年代に排出ガス規制によって牙を抜かれたモデル、5車種をピックアップして紹介します。

パワーダウンを余儀なくされたころの国産車を振り返る

 現在、厳しい排出ガス規制下であっても、高性能化が進み続けています。これは燃料の燃焼解析技術や制御技術、浄化技術などの進歩によって、実現しました。

排出ガス規制強化でパンチを失った頃のクルマたち
排出ガス規制強化でパンチを失った頃のクルマたち

 日本では、昭和41年(1966年)から自動車の排出ガス規制が開始され、年々強化されてきた歴史があります。なかでも昭和48年規制(1973年施行)から昭和53年規制(1978年施行)が、もっとも規制強化が図られた時期です。

 光化学スモッグを引き起こす原因物質であるHC(炭化水素)やNOx(窒素酸化物)、中毒症状を引き起こすCO(一酸化炭素)などの大気汚染物質を削減するため、各自動車メーカーとも最重要課題として対応しました。

 そのため、当時、メーカーはモータースポーツへの参戦を休止して排出ガス対策の研究に注力し、さらにエンジンのパワーダウンも余儀なくされるなど、スポーティなモデルには不遇の時代が訪れたといえます。

 そんな、排出ガス規制の強化で牙を抜かれたといわれた頃の国産車を、5車種ピックアップして紹介します。

●三菱「ランサーEX」

スポーティなグレードでもエンジンは今ひとつだった「ランサーEX」
スポーティなグレードでもエンジンは今ひとつだった「ランサーEX」

 三菱初代「ランサー」は1973年2月に発売されました。エンジンのバリエーションは1.2リッター、1.4リッター、1.6リッターの直列4気筒を設定。

 デビューから遅れて同年8月に登場したスポーティグレードの「ランサー1600GSR」は、1.6リッター直列4気筒SOHCの「4G32型」エンジンにソレックスツインキャブレターを装着し、最高出力110馬力を誇りました。

 FR駆動で825kgと軽量な車体に5速MTを標準装備するなど、国内外のラリーなどモータースポーツで活躍し、後のランサー=ラリーというイメージが確立します。

 そして、1979年に2代目となる「ランサーEX」が発売されました。トップグレードの「1600GT」には4輪ディスクブレーキがおごられるなど、スポーティさをアピールしていましたが、最高出力は86馬力と初代よりも大幅ダウンを余儀なくされました。

 再びランサーがパワーを取り戻すには、ターボ時代の到来によって、1981年に登場する「1800GSRターボ」まで待たねばなりません。

●トヨタ「カローラレビン」

偉大な初代を超えられなかった2代目「カローラレビン」(画像は前期型)
偉大な初代を超えられなかった2代目「カローラレビン」(画像は前期型)

 1966年に発売されたトヨタ「カローラ」は、高速時代を見据えた新時代の大衆車としてデビュー。

 1970年には2代目が登場し、さらに1972年には高性能版の「カローラレビン」と姉妹車の「スプリンタートレノ」が加わります。トップグレードには、初代「セリカ」に搭載された1.6リッター直列4気筒DOHC「2T-G型」エンジンが採用され、オーバーフェンダーが装着された2ドアクーペのボディと相まって、たちまち若者を虜にします。

 この2T-G型には有鉛ハイオク仕様と無鉛レギュラー仕様が設定され、それぞれ115馬力と110馬力を発揮。

 1974年には2代目が発売され、エンジンも初代を継承しましたが排出ガス規制に完全に対応できず、わずか1年も経たずに販売を終えます。

 そして、1977年にカローラレビンが復活し、エンジンはキャブレターから電子制御燃料噴射装置(インジェクション)に代えられ、無鉛レギュラーガソリン仕様のみの設定で、最高出力は110馬力を発揮。

 初代のレギュラー仕様と変わらない出力ですが、有鉛ハイオク仕様と比べると、圧縮比が9.8から8.4まで下げられており、最高出力を発生する回転数も6400rpmから6000rpmまで下がってしまいました。

 その後のマイナーチェンジで115馬力に向上しましたが、やはりキャブレター仕様の高回転まで回るフィーリングやパンチ力を超えらなかったといいます。

 なお、初期の2T-G型は余計なデバイスが付いてないという特徴もあり、旧車のなかでも初代カローラレビン(スプリンタートレノ)は、いまも高い人気を誇っています。

●日産「スカイライン2000GT-X・E」

パワー的にはキャブ仕様と同等だったインジェクション仕様の「スカイラインGT-X・E」
パワー的にはキャブ仕様と同等だったインジェクション仕様の「スカイラインGT-X・E」

 日産「スカイライン」の高性能モデルというと、1969年に登場した「スカイラインGT-R」です。

 初代スカイラインGT-Rは市販車をベースにしたツーリングカーレースで勝つことを目的に開発され、エンジンは2リッター直列6気筒DOHC4バルブの「S20型」を搭載。2バレルのソレックスキャブレターを3基搭載し、最高出力は160馬力(有鉛ハイオク仕様)を発揮するという、当時の水準を大きく超えたエンジンでした。

 1973年に登場した2代目スカイラインGT-Rにも同スペックのS20型が搭載されましたが、排出ガス規制に適合できず、わずか197台の生産で販売を終了。

 その後、スカイラインのトップグレードはインジェクション化された「L20E型」エンジンを搭載する「2000GT-X・E」となり、最高出力はツインキャブ仕様と同じ130馬力をキープしますが、その後もパワーアップすることはありませんでした。

 1980年代に入るとターボ化が加速して、1981年にはスカイラインにDOHCエンジンが復活しましたが、スカイラインGT-Rの160馬力を上まわる出力は、1983年に登場した2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載した「ターボRS」(190馬力)によって達成されるまで、10年もかかったことになります。

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3件のコメント

  1. なにこの記事
    うそ書くなよ81年のスカイラインにDOHCなんてねえわ

  2. あるぞ。
    FJ20はDOHCだからね。

    • スカイラインはGT神社が多いからね。
      RSがFJ20の4気筒だからGTを名乗れないからLD28がGTだったか分からんけど、そもそもパワーダウンではなくてNISSAN NAPSで51年規制をクリアするに下のトルクが死んでしまったんだね。
      特にシングルキャブレターのL20の330型セドグロは悲惨だったね、だからと言ってL28も規制前のL20ほどパワーは無く規制後のL20よりマシな程度で使えるようになったのはL28Eになってからの話でスカイラインも自分から診ればFJ20こそGTでありGT-Rでもよかったのでは?と思うね。

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