なぜタイで発売!? トヨタ「カローラクロス」の謎 アジアで強まるSUV需要とは
トヨタは新型SUV「カローラクロス」をタイで発売しました。近年は日産「キックスe-POWER」などのライバル車種もタイで発売されましたが、東南アジアで新型SUVの発売が続く要因とはなんでしょうか。
矢継ぎ早に発売されるタイ発のSUVたち。現地では何が?
2020年7月9日にトヨタの新型「カローラクロス」が世界に先駆けてタイで発表・発売されました。最近では、同年5月15日に同じくタイにて日産の新型「キックスe-POWER」が先行発表されています。
新型SUVの発表が世界に先んじてタイなどの東南アジアでおこなわれていますが、その理由はどこにあるのでしょうか。
大きな要素のひとつには、近年の東南アジアにおけるSUVの需要の高さがあります。東南アジアは日本に比べ温暖であることから雨期が長く、地域によっては激しい雨に見舞われることもあります。
短時間で大量の雨が降る「スコール」によって道路が冠水することもあるとされ、セダンやステーションワゴン、コンパクトカーでは道路を渡れないこともあります。車高の高いSUVは、こうした東南アジア特有の気候にマッチした車種なのです。
また、近年発売されるSUVのほとんどはクロスオーバーSUVといわれる乗用車ベースSUVであり、同じく高い車高を持ち悪路走破性の高いクロスカントリービークルよりも、乗り心地やコストに優れています。
クロスオーバーSUVは、悪路での走行性能はクロスカントリービークルに劣りますが、近年は東南アジアでも舗装路が増えていることから、本格的なRVなどよりも、車高が高く乗り心地が良いクロスオーバーSUVが人気となっている要因です。
実際に、カローラクロスの駆動方式は前輪駆動(FF)のみです。4WDが威力を発揮するのは積雪地や砂地など摩擦力が小さい路面といわれています。
しかし、東南アジアでは未舗装路は少なくありませんが、日常的にクルマが走る道路は踏み固められているため、タイヤがスリップしてしまうほど摩擦力の小さな路面は多くないようです。
道路が冠水してしまった場合でも、FFはエンジンなどの重量物が駆動輪にのしかかる構造となっており、車高の高いSUVであればよほどの事態でない限り必要十分な性能といえます。
そのため、最近では東南アジア地域に各自動車メーカーがさまざまなSUVを投入しています。カローラクロスがタイで発売された要因には、世界でもっとも熾烈な競争がある「SUV激戦区」だからだといえるでしょう。
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