走破性より見た目重視!? 最近のSUVにFF車が多い理由とは
近年、国内外で登場するコンパクトSUVのなかには、4WD仕様の設定が少なかったり、FF専用車として登場するモデルもあります。悪路走破性が求められるイメージの強いSUVですが、なぜFF仕様を重視するコンパクトSUVが登場しているのでしょうか。
悪路走破性求めないコンパクトSUV 高評価するユーザーの声とは
近年コンパクトSUVの人気は高く、国内市場でもさまざまなモデルが登場しています。そして人気は海外でも同様で、日本の自動車メーカーも日本だけでなく海外にも多くのコンパクトSUVをラインナップしてされています。
そんななか、日本や海外で近年発売されるコンパクトSUVのなかには、4WD仕様の設定が少ないモデルがあります。悪路走行に強いイメージを持つSUVですが、なぜFFに注力するモデルが増えてきているのでしょうか。
日本自動車販売協会連合会の発表によると、2020年上半期(1月から6月)の登録車販売台数ランキングのうち、コンパクトSUVの上位3車種となったのは、首位はトヨタ「ライズ」、2位はトヨタ「C-HR」、3位はホンダ「ヴェゼル」でした。
このうち、ライズは発売が2019年11月で、登場間もないモデルとなっていることも後押しして爆発的な売れ行きとなっているものの、2位のC-HRは2016年12月発売、3位のヴェゼルは2013年12月発売と、モデル末期ともいえるほど発売から年月が経っているにも関わらず、根強い人気となっています。
そんななか、C-HRとヴェゼルは悪路走行に配慮されたイメージのあるSUVであるにも関わらず、選択できるグレードのうち4WDよりもFFの方が手厚く設定されています。
とくにC-HRは、2016年の発売当初、1.2リッターターボと1.8リッター+モーターのハイブリッドの2仕様でデビューしましたが、発売後1か月間の受注のうち80%近くを占めたハイブリッド仕様はFFのみの設定でした。
一方、1.2リッターターボ仕様は発売当初4WDのみの設定だったものの、2018年の一部改良でターボ仕様にもFF仕様を設定。結果、4WDよりFFの方が仕様の選択肢が広くなっています。
1.5リッターと1.5リッター+モーターのハイブリッド仕様、そして1.5リッターターボという幅広いエンジンラインナップをヴェゼルも、すべてのグレードにFFを設定。
4WDの設定もグレード別であるものの、2016年に追加された「RS」と2019年に追加された「TOURING」というふたつのスポーティグレードに関してはFF専用としており、結果FFの選択肢が多いです。
なぜ、これらのコンパクトSUVではFFのラインナップが充実しているのでしょうか。
ホンダの販売店スタッフに聞くと、次のように話します。
「最近のお客さまの声を聞くと、結局SUVに走破性を求めるお客様はほぼいません。みなさん、見た目のカッコよさで選んでいます。
『海や山へ行くからSUVがいい』、という人の割合は以前より下がった印象です。
お客さまのカッコよさの基準としては、背が高く、タイヤも大きくてゴツい見た目(SUVらしい見た目)が評価されることが多いです。
弊社のコンパクトカー『フィット』でも、SUV風の外見を持つ『クロスター』というグレードが設定されており、それくらい(本来のSUVの用途よりも)、SUVの見た目自体に人気が集まっています」
クロスターは、ホンダが2019年10月に発売した「フリード」から採用しているSUV風のグレードで、フィットは2例目の採用となります。
また、前出のホンダの販売店スタッフは、「補足すると、そもそも最近のクルマの多くには横滑り防止装置をはじめ各種安全装備が備わっているので、スタッドレスタイヤなどちゃんとした装備があれば、雪道はFFでもそれほど怖いものではありません」とも話します。
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2020年6月に発売された日産の新型コンパクトSUVの「キックス」は、4WDを設定しないFF専用車として登場しました。
そして、日産は新型キックスの魅力として、電動パワートレイン「e-POWER」搭載のほかに、洗練された存在感あるスタイリングもあわせてアピールしています。
モデルごとの特徴の違いにより、一概にいい切ることは難しいものの、近年のコンパクトSUV人気は、“SUVらしい見た目”のカッコよさが支えているのかもしれません。
外観を重視する結果がFFだと言うが、それなら、デザイン的には決して素敵とは思えないボックスカーが溢れる理由が分からない。欧米諸国は勿論のこと、中国や韓国でも日本みたいに大小の箱が並んで走っている様な風景は見られなく、路上の車はスマートでスタイリッシュです。
北米だけに絞れば、これほどSUVが受けている理由は、高い着座位置で遠くまで見渡せられる安心/安全感を感じるから、とか。購入理由をお客さんから聞くと、これがTop1、2に登ってくるそうです。
ただ、こちらも北米に絞れば、背格好が高いSUVは”子供の送り迎え用のオバサングルマ”とも最近はとらえられていることもあるらしく、若者世代を中心に、セダンやクーペへの回忌が起こっているそうです。