マフラー本数が多い方が速い? 軽は1本でもスポーツ車の本数が多い理由

一般的に軽自動車では、マフラーの数が1本となっています。しかし、ボディサイズや排気量が上がっていくにつれ、マフラーの本数が増えていく傾向にあるといいます。なぜ、車種によってマフラーの本数は変わるのでしょうか。

マフラーの重さは燃費に悪影響?

 クルマを後方から見ると、排気ガスを排出するマフラーが備わっています。軽自動車の多くでは1本なのに対して、大排気量車では左右に1本ずつ、もしくは2本ずつ備える車種もあります。なぜ、クルマによってマフラーの本数が変わるのでしょうか。

大排気量かつスポーティなモデルのレクサス「RC F」
大排気量かつスポーティなモデルのレクサス「RC F」

 近年は電気自動車(EV)の登場によりマフラーを必要としないクルマも増えていますが、経済産業省によれば2017年時点で販売実績に占める電気自動車(EV)の割合は0.41%とされ、依然として多くのクルマはエンジンを搭載としています。

 そのため、ガソリンを燃焼させて動くエンジン車にとって、燃焼した排気ガスの出口であるマフラーは必須の装備です。そもそもクルマのマフラーには、排気ガスの冷却や、エンジンの騒音を低減する役割があります。

 エンジンで発生した排気ガスは、エキゾーストマニホールドと呼ばれるパイプや、排気ガスを浄化する触媒を経てひとつのパイプに集合し、そこから車体中央部にある「サブマフラー」と、車体最後方にある「メインマフラー」を経て徐々に冷却されていきます。

 なかでもメインマフラーとサブマフラーは、エンジンで燃焼したガスが大気中に放出される際に発する騒音を低減する「サイレンサー」としての機能があり、クルマの中と外の静粛性を保つために重要な役割を果たしています。

 しかし、マフラーの大きさや本数は統一されておらず、車種やボディサイズによってバラバラです。例えば、2020年5月にもっとも販売台数が多かったホンダ「N-BOX」やダイハツ新型「タフト」などの軽自動車では、マフラーは左右どちらかに1本のみ装備されています。

 一方で、3リッターターボおよび3.5リッター(ハイブリッド)のエンジンを搭載するを持つ日産「スカイライン」は左右に1本の計2本、排気量5リッターを超えるレクサス「RC F」では、左右2本の計4本が備わっているのです。

 なぜ、クルマのサイズや排気量の違いによって、マフラーの本数が変わるのでしょうか。

 その理由について「ハスラー」や「ワゴンR」などの軽自動車を販売する、スズキ販売店のスタッフは以下のように話します。

「マフラーはクルマのなかでも重い部品のひとつです。重量が増えると、結果として燃費にも影響がでてしまう可能性があります。

 また、軽自動車ではコストを重視しているため、マフラーの数を増やせば製造コストがかかることから、1本にするほうが良いといわれています」

 また、クルマ用のマフラーを製造している藤壺技研工業では、以下のように話します。

「マフラーを1本にした場合、サイレンサーの数が少なくなるため、コストが抑えられるとともに、軽量化にもつながります。

 音量の面でもマフラーは1本にした方が有利です。スピーカーを想像していただけるとわかりやすいですが、数が多ければそのぶん音の発生源が増え、音量が増してしまいます」

 クルマは、車体が軽ければ加速に使う力を小さくすることができ、結果として燃費が伸びます。そのため、いかにひとつひとつの部品を軽くできるかが、燃費性能の大きなカギを握ります。

 実際に、1979年に発売された初代スズキ「アルト」は「1部品1円1g」を合言葉に開発されたといわれています。

 しかし、軽自動車のなかにもダイハツ「コペン」のように、大排気量車と同様に左右両側にマフラーを備えている車種も存在。

 マフラーを増やせば燃費に悪影響を与えるとされているにもかかわらず、左右にマフラーを備えるメリットはどこにあるのでしょうか。

 前出の藤壺技研工業は以下のように話します。

「マフラーを左右に配置するメリットは重量バランスです。排気量が大きくなると、エキゾーストシステム全体の重量が大きくなるので、片側だけになると重量が偏ってしまいます」

 マフラーや、排気ガスが通過するエキゾーストパイプと呼ばれる部品には、パイプ以外にもさまざまな部品が付属しています。

 例えば、高温になるパイプからボディや配線や配管などを守るためのヒートインシュレーターや、パイプを車体に固定するためのマウンティングブラケットがあり、どれも金属製の部品となっています。

 大排気量車は、軽自動車などのエンジンが小さなクルマに比べて、より強力な排気ガス浄化装置や冷却装置を必要とします。

 そのため、触媒やエキゾーストパイプ、マフラーなどの部品が大きくなり、片方だけでは重量バランスを悪化させてしまうのです。

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4件のコメント

  1. ん〜同じTOYOTAの1UZでもロイヤルサルーンの一本出しに何の問題も無かったし逆に良い音を放っていたような?
    LSや初代マジェスタ、歴代セルシオなどは触媒や太鼓が左右略均等のマニホールドから辿る2本出しだけど他は単なる2本出しのような配管だからね。

  2. 有名なスポーツカーの4本出しマフラーの左右1本はダミーで奥で塞がっています。(YouTubeのCARWOWを参照して下さい)
    いつもお世話になりまして、ありがとうございます。現代の車は排気系の基本設計がしっかり出来ているのでしょう。デザインだけの問題ではないでしょうか、

  3. 5リッターターボのレクサスなんかないよ

    • このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
      修正いたしました。

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