電動化を進めるボルボ初の48Vマイルドハイブリッド「XC60 B5」に乗ってみた
違和感のない自然な走行フィーリング
じつは、48Vマイルドハイブリッドシステムを持つボルボXC60 B5は、ガソリンモデルのXC60と見分けるポイントは少ない。
外観はリアゲートに貼られた「B5」のバッジ、インテリアではATのセレクターレバーがクリスタルになり、バイワイヤーの電子シフトになったこと。さらにタコメータの中に電池マークが加えられたことだけだ。
この小さな電池マークは、ブレーキを踏んで回生しているときだけ青色に変化するだけで、けっして目立とうとはしていない。今後ボルボ車はこれが当たり前になることを前提にしているのだろう。
乗り込んでシートポジションを合わせ、シートベルトをして、ブレーキペダルを踏みながらセレクターレバーの手前側にあるスタートスイッチを右に捻る。
通常ならここでキュルキュルンというスタータモーターの音がしてエンジンが始動するが、48Vマイルドハイブリッドだけあってゴロンという感じの低い音がしてエンジンが回り出す。
始動直後にエンジン回転数が高くなることもなく、とても躾(しつけ)がいい。これはベルト駆動のメリットで、エンジン停止/始動を繰り返しても乗員にストレスがかかるような音や振動がない。
PHEVと同じバイワイヤーのブレーキシステムになったが、違和感はまったくない。とても自然な感じで操作できる。ドライバーの意図と違い遅れて反応したり、あとから強すぎたりということがない。ペダルのストローク感、踏力に比例したブレーキ力、遅れのなさなどよくチューニングされている。
電動化に進むとエンジンが止まっている状態でもブレーキを使うことになるから、今後はバイワイヤーのブレーキシステムが主流になる。ボルボはこれから発売される全モデルを電動化するわけだから、このブレーキの研究開発に力を注いだことが窺える。
じつは搭載されるエンジンは通常のガソリンモデルと同じ2リッター直列4気筒ターボなのだが、その中身はオールニューといっていいほど進化している。
CDA(シリンダー休止システム)を採用し、エンジンの負荷が小さいときには1番と4番シリンダーを休止する。作動する車速は30km/hから160km/hの範囲だから幅広い。
さらにターボチャージャーも変更され、ピストン、シリンダーヘッド、エンジンマウント、オイルパンカプセル、エキゾースト系まで新設計になっている。また電動化に合わせてアイシンAW製のATの制御も見直されている。
XC60 B5を走らせてみて一番感じたことは、まったく違和感がないということだろう。48Vマイルドハイブリッド搭載モデルということをいわれなければ気づかないレベルだ。シリンダー休止システムもいつ作動しているのか、走行していてわからない。
プリウスなどのハイブリッドモデルと比べると、エンジンが止まっている時間も長くないし、乗っていてハイブリッド感はない。だが細かいところまでチューニングが行き届いていて、通常のエンジン車のように自然な感じで運転できるところに好感が持てた。
●VOLVO XC60 B5 AWD INSCRIPTION
・車両価格:734万円
・全長:4690mm
・全幅:1900mm
・全高:1660mm
・ホイールベース:2865mm
・車両重量:1920kg(エアサス仕様
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ+電気モーター
・排気量:1968cc
・エンジン最高出力:250ps/5400-5700rpm
・エンジン最大トルク:350Nm/1800-4800rpm
・モーター:交流動機電動機
・モーター最高出力:10kW/3000rpm
・モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT
・サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/マルチ陸
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤ前後:235/55R19
・WLTC燃費:11.5km/L
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