今もVIPカーは人気? シャコタン&ツライチは当たり前! 海外でも注目なワケ
高級セダンをカスタムする「VIPカー」、大きなホイールに低い車高など、迫力あるそのカスタム方法は、高級車にそこまでしてしまうのかと驚かされます。しかし、ひと昔前と比べればその姿を見かけることは減ったように思えます。彼らは今、どうなっているのでしょうか。
日本独自の文化、そのルーツは暴走族?
高級セダンをベースに、極端に低い車高や派手なエアロパーツなど、特徴的なカスタムスタイルの「VIPカー」というジャンルが人気を集めています。
ベースとなるのは、トヨタ「セルシオ」や「アリスト」、「クラウン」、レクサス「LS」、日産「セドリック/グロリア」、「シーマ」、「スカイライン」などの国産セダンが中心となっています。
外観上の大きな特徴である極端に低い車高は、車高調整式サスペンションや、通常のサスペンションとは構造が異なる「エアサスペンション」を装着して実現。
また、シルバーなどでメッキされた大径ホイールと、扁平率の低いタイヤを組み合わせ、ボディとホイールのデザイン面をスレスレにする「ツライチ」というカスタマイズも重視され、クルマの外観を低く、シャープに見せる特徴があります。
さらに、スポーティなエアロパーツを装着したもの、純正色にはない派手なカラーリングに全塗装したものや、さらにはトランク内に大型スピーカーや高級オーディオシステムを装着するカスタマイズも存在。
こうしたVIPカーにはいくつかのルーツがありますが、代表的なものはかつて暴走族と呼ばれるユーザーの間で流行したスタイルとされています。
1960年代、当時「カミナリ族」と呼ばれていた暴走族は、バイクを中心としたグループでした。しかし、次第にクルマに乗る暴走族が増え、マフラーをはじめとした個性的な外観の改造がおこなわれるようになります。
1970年代には「富士グランドチャンピオンシリーズ」などのレースが数多く開催され、国産車や輸入車の乗用車が、車高を低くして大きなホイールとタイヤを装備し、レーシングカーへと姿を変える例もありました。
VIPカーの外観的特徴に、極端に低い車高や大径ホイールを装着するものがありますが、こうしたルーツはレーシングカーにあるともいわれています。
なお、こうしたレーシングカーの外観に着想を得たとされるカスタムスタイルのひとつに「街道レーサー」というものもあり、低い車高や「ツライチ」など、VIPカーに通じる特徴を持っています。
その後、暴走族は社会問題化。警察による取り締まりが強化されたことで、暴走族は数を減らしていきました。しかし、低い車高やツライチといったカスタム方法の人気は保たれ、VIPカーのスタイルが形作られていきます。
では、現在のVIPカー事情はどのようになっているのでしょうか。中古車販売店のスタッフは以下のように話します。
「現在、VIPカーを楽しむユーザーは昔からのファンだけでなく、会社員などのいわゆる『普通の人』も多い印象です。
VIPカーは威圧的な見た目から怖い人が乗っていると思う人もいるかもしれませんが、あくまで自分の個性を主張しているにすぎず、誰かを威圧しているわけではありません。
私の知っているお客さまのなかには社会人1年目の男性や、女性もいます。ファッションのようなスタイルや、自分がこだわる好きなもののひとつとして、VIPカーに乗っているという感じです」
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実際に、カスタムカーの祭典「東京オートサロン」でも、ほぼ毎年のようにVIPカーが展示され、ブースは盛況となっています。その発祥は古くとも、若い世代や性別を問わずに今でも一定数の人気があるようです。
DQN