時速400キロはどうして可能か? マクラーレン「スピードテール」のヒミツとは?
マクラーレン「スピードテール」が、カタログ表記の403km/hを実際に出すことができるのは、最高速検証テストで実証された。では、どうしてスピードテールは、テストで何度も400km/hの壁を超えることが出来たのだろうか。
スピードテールが安定して時速400キロを出せるのは、革新的なハイブリッドシステムにあった!
2019年に米国で最高速度403km/hを30回以上達成し、最高速検証テストを終えたマクラーレン「スピードテール」。しかし、どうして安定して何度も403km/hをマークできたのだろうか。そのヒミツに迫る。
スピードテールは、最高速度403km/h、0?300km/h加速13秒という、とてつもなく速さに特化したクルマだ。
マクラーレンによると、スピードテールの速さのヒミツは、卓越した空力性能や車両の重量配分はもちろんのこと、革新的なハイブリッドシステムによるところが大きいようだ。
スピードテールの「M840TQ」と呼ばれるパワートレインは、4リッターV型8気筒ツインターボエンジンと、電気モーターである。V8エンジンは、マクラーレン初のハイブリッド・ハイパーカーであるマクラーレン「P1」のエンジンを改良したものだ。
エアインテークを新設計し、シリンダーヘッドの冷却を見直し、ピストンも改められた。こうして、エンジン単体だけで757ps・800Nm(P1は、737ps・720Nm)を発揮し、システム合計で最大1070ps・1150Nmを発揮する。
フォーミュラEから派生したテクノロジーを用いた電気モーターは、230kW以上を発生。市販ロードカーでは最高の性能を持った電気モーター(クーリングとインテグレーションを含む)をスピードテールは搭載することになる。
重量あたりの出力は8.3kW/kgと、平均的なスポーツカーの2倍の効率を誇る。
マクラーレン・アプライドのエンジニアは、スピードテールのエレクトリック・ドライブ・テクノロジーのチームと協力して、モータースポーツで開発された画期的なインバータとDC/DCコンバータテクノロジーを電気駆動システムに統合し、ハイブリッドHyper-GTの桁違いの性能を可能にするための制御とパワーマネジメントを実現している。
さらにスピードテールでもっとも革新的なのは、高電圧エネルギーを蓄えるシステムにある。独自の配列で配置した1647kWhの高出力円筒形セルは、非常にコンパクトなだけではなく、現在存在する高圧バッテリーのなかで、最高のパワーウェイトレシオである。
このバッテリーは、マクラーレンP1の4倍の電力密度を持ち、5.2kW/kgと270kWの出力を誇るものだ。
これらのバッテリーシステムの設計とインテグレートによって、スピードテールはインテリジェントなパワー供給がなされることで、400km/hオーバーの最高速度を達成することができるのである。
バッテリーセルは、軽量で絶縁性のあるオイルに浸されているため、熱くなったバッテリーセルを素早く冷却することが可能だ。この市販車では初となる誘電冷却システムによってバッテリーセルの温度をコントロールすることで、長時間にわたって、効率的にパワーを引き出すことが可能となったのである。
これが、スピードテールが最高速検証テストで、403km/hを30回以上も安定して達成できたヒミツである。
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