なぜ毎年進化する? 86/BRZは育てるクルマ! 両車の細かな違いとは
まだまだ進化は止まらない!? 次期型モデルはいつ出る?
5回目の改良(F型:2017年9月)は、D型と比べると変更は控えめながらも、より純度の高いハンドリングのためにステアリングの支持剛性強化とそれに合わせて電動パワーステアリングの特性を変更。また、リリースには記載されていませんがボディにも手が入っており、インパネ中央部の空調室内ユニット貫通穴の構造補強とリアバルクヘッド周りの板厚アップがおこなわれています。
また、86には量産コンプリートカー「GR」を追加。2017年に限定100台が発売されたニュル24時間レースカーのロードモデル「GRMN」譲りのアイテムを多数採用。GRMNのピュアな走りの良さを受け継ぎながらも、ハンドリングと快適性のバランスは“大人向けスポーツ”といった位置づけでした。
BRZは2013年/2015年に限定発売された「tS」の技術やノウハウを盛り込み、スバルとSTIが共同開発した量産コンプリートカー「STIスポーツ」を追加。量産モデル初採用のフレキシブル補剛パーツに加え、18インチアルミホイール&タイヤ、専用セットのサスペンション、専用の内外装などが奢られ、スポーツとプレミアムをバランス良くアップ。BRZのフラッグシップグレードにふさわしい1台となっていました。
6回目の改良(G型:2018年9月)は、BRZのみ空力操安の考えを盛り込んだリアアーチフィンの採用と、それに伴うダンパーチューニングの最適化を実施。
86の変更はありませんでしたが、2017年に設定されたGRの弟分となる「GRスポーツ」を設定。内外装はGRの意匠を継承、走りは「ハイパフォーマンスパッケージ+α」といった内容。
また、既販モデルにGR用パーツのなかから好みのパーツを選んでカスタマイズが可能な「GRパーツ」の販売もスタートされました。
7回目の改良(H型:2019年4月)は86/BRZ共に大きな変更はなく、ボディカラーの変更や内部突起法規対応の小変更のみでした。
ただ、開発陣の言葉を借りると、「現行モデルでやれることはほぼやり切った」ということだと解釈してもいいと思います。2020年に8回目言いたいところですが改良なく、H型が現行モデルとしての最終型となります。
ちなみに自分の86/BRZがどの世代のモデルなのかは簡単にチェックできます。車体番号やそのクルマ固有の情報が記載された「コーションプレート」が助手席ドアを開けた部分に貼られています。
ここに「アプライドモデル」と記載されていますが、86ならZN6、BRZならZC6に続きA/B/Cなどと記されていますが、ここで確認可能です。
このように86/BRZの進化・熟成の歴史は、スポーツカーとしての走りの“純度”を引き上げる歴史といっていいでしょう。
2代目となる次期型が2021年登場といわれていますが、初代で培ったノウハウや知見、ユーザーからのフィードバックは色濃く反映されているはずなので、大きなレベルアップは間違いないでしょう。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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