ベントレー「ブロワー」デジタル化完了! コロナ危機を在宅ワークで乗り切ったマリナー

ベントレーのブロワー再生プロジェクト「ブロワー・コンティニュエイション・シリーズ」が、重要な節目を迎え、新たに製造する車両のマスターデザインおよび製造技術のリファレンスとなるデジタルCAD(コンピューター支援設計)モデルを完成させた。

COVID-19危機をテレワークで乗り越え、ブロワーのデジタル化完了!

 2019年発表された「ブロワー・コンティニュエイション・シリーズ(Blower Continuation Series)」は、ベントレー「ブロワー」の新車を12台生産するというものだ。

 それぞれの車両は、1929年にサー・ティム・バーキンが製作し、レースに参加した「チーム・ブロワー」を正確に複製したものであり、現在、世界で最も価値のあるベントレーといえる。これらのコンティニュエイション・カーは、ベントレー・マリナーのクラシック部門の専属チームが製造を担当している。

「チーム・ブロワー」のCADモデルは、630個のコンポーネントで構成された70個のアセンブリーに分かれており、総データ量は2GB以上に達した
「チーム・ブロワー」のCADモデルは、630個のコンポーネントで構成された70個のアセンブリーに分かれており、総データ量は2GB以上に達した

 彼らは最近、1939年のベントレー・コーニッシュ(Bentley Corniche)のレストアを手がけたが、現在、ビンテージ専門のチームと協力して、新しいシリーズに命を吹き込むために必要な一連のパーツを設計・製造し直している最中だ。

 全12台の新車はすでに世界中の熱狂的なコレクターに売約済みで、ベントレーが所有するエンジニアリング・プロトタイプ「Car Zero(カー・ゼロ)」の第一段階が、まもなく本格的にスタートする。

 ベントレーの「チーム・ブロワー」は慎重に解体され、精密なレーザー・スキャンや複雑な手作業による計測を経た後、すべてデジタルデータとして保存された。

 こうして完成したCADモデルは、630個のコンポーネントで構成された70個のアセンブリーに分かれており、総データ量は2GB以上に達している。

 スキャン・データや測定値からモデルを完成させるため、延べ1200時間を要して専任のCADエンジニア2名が取り組んだ。その結果、初めて1920年代のベントレーの正確かつ完全なデジタルモデルが完成。昨今のCOVID-19の危機の間、技術者たちは在宅で作業しながらモデルを完成させた。

 CADモデルのデータから正確なフルカラーのレンダリングを作成することができるため、ベントレーのデザインチームは、部品の設計・開発を支援するプロセスだけでなく、個々のカスタマーの車両の仕様を支援することも可能になった。

 コンティニュエイション・シリーズの車両は、機械的に見ればチーム・ブロワーと同じだが、カスタマーは現在、戦前のモデルとの差別化を図るため、エクステリアとインテリアのカラーパレットや素材を選択する作業をおこなっているという。

●ところで「チーム・ブロワー」とは?

ベントレー「チーム・ブロワー(車台番号HB 3403)」
ベントレー「チーム・ブロワー(車台番号HB 3403)」

 1920年代後半、バーキンがレース用に製作したオリジナルの「チーム・ブロワー」は、わずか4台のみ。そのすべてがヨーロッパのサーキットでレースに参戦しており、もっとも有名な車両であるバーキン所有のチーム・カー・ナンバー2(登録番号UU 5872)は、ル・マンでレースに参戦し、1930年のベントレー・ファクトリー・マシン「スピード・シックス(Speed Six)」の勝利に極めて重要な役割を果たしている。

 現在はベントレー所有の「チーム・ブロワー(車台番号HB 3403)」となったこのマシンは、コンティニュエイション・シリーズのマスター・モデルとなっている。

 ベントレー・マリナーの熟練したヘリテージ・テクニシャンは、1920年代のオリジナルの金型や治具、伝統的なハンドツールから最新の製造技術まで駆使して12台分の部品を製作し、新型ブロワーを組み立てることになっている。

 ベントレーのオリジナルの「チーム・カー」は、その後、この機会を利用してヘリテージ・チームが詳細に検査をおこない、1929年当時のオリジナルの仕様に戻すため、必要に応じて昔ながらの機械的レストアが施されている。

 90年の歴史を持つこのクルマは、現在でも定期的に走行しており、2019年のミッレミリアの完走、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでのヒル・ラン、最近ではカリフォルニアの海岸線を抜けてラグナセカでのパレードに参加し、2019年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスのクライマックスでは他の3台の「チーム・ブロワー」のうち2台と共に登場した経緯がある。

 オリジナルのチーム・ブロワーを受け継ぐものとして、新しいコンティニュエイション・シリーズの各車両には、鋳鉄製シリンダーライナー、取り外し不可能な鋳鉄製シリンダーヘッド、アルミニウム製クランクケースを備えた4気筒16バルブ・エンジンが搭載される。

 スーパーチャージャーはアマースト・ヴィリエ・マークIV(Amherst Villiers Mk IV)のルーツ式スーパーチャージャーを忠実に再現し、排気量4398ccのエンジンから240bhp/4200rpmの出力を発生させる。

 車両構造はプレススチールフレームで、半楕円リーフスプリング・サスペンションに複製されたベントレー&ドレイパー(Bentley & Draper)製ダンパーを組み合わせている。

 復刻されたベントレー・ペロー(Bentley-Perrot)製の直径40cm(17.75インチ)の機械式ドラム・ブレーキおよびウォーム&セクター・ステアリングが、シャシを締めくくっている。

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