「クルマは金属製」は時代遅れ!? 進化するクルマの意外な非金属部品とは
良いことづくめに思える非金属部品の意外な弱点とは
プラスチックなどの材料は、金属に比べて軽いという特徴を持っています。このような金属をFRPやプラスチックなどに置き換える軽量化は、かつてはレーシングカーやスーパーカーといった車種でおこなわれていました。
クルマを軽くすれば加速、減速、コーナリングのスピードが上がるため、重たい部品を軽い部品に交換するメリットがあったのです。
例えば、1990年に発売されたホンダの初代「NSX」は、モノコックとよばれる車体の骨格部分を軽量なアルミニウムでつくり、大幅な軽量化を達成しました。
ほかにも、2014年に発売されたBMW「i3」は、モノコックがアルミニウムよりも軽く強靭なCFRP(炭素繊維強化プラスチック)でつくられ、さらに大幅な軽量化を果たしています。
なお、CFRPはレーシングカーにも使われている材料で、F1マシンでは車体のほとんどがCFRPといわれています。
しかし、樹脂製部品にはリサイクルの面でデメリットがあります。CFRPはとくに難しいといわれており、事故などで壊れた場合も、通常の修理方法では修理できず、高額になるデメリットもあるようです。
スバルの販売店スタッフは以下のように話します。
「スバルでは、ルーフにカーボン(CFRP)を使用した限定車があり、飛び石や事故などで破損した場合、金属に比べて修復が難しい特徴があります。
当店ではまだ破損した車両はありませんが、ルーフが破損したらルーフ部分を全部交換することになるのではないでしょうか」
金属であれば板金で修理できていた部分が、カーボンでは修正が困難なために部品そのものを取り替える必要もあるようです。
また、金属は高温で溶かすことによって新しい製品にリサイクルできますが、FRPやCFRPはリサイクルが難しいという性質もあります。
クルマの部品として使っている間は燃費が良くなるといったメリットがあるものの、廃車になったり解体されるときは金属よりも扱いづらく、環境負荷も高い材料といえるでしょう。
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排出ガス規制などクルマを取り巻く環境は年々厳しくなっています。そんななか、2019年10月に開催された東京モーターショー2019で環境省のブースに出展された「ナノセルロースヴィークル」が注目を集めました。
これはCNF(セルロースナノファイバー)という植物由来の素材で作られたクルマです。CNFは鋼鉄の5分の1の軽さでありながら、鋼鉄の5倍の強度を持つといいます。
いまのところ鋼鉄より強靭な木を想像するのは難しいですが、将来的には木材が使われたクルマが身近になる日がくるのでしょうか。
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