法整備から20年のチャイルドシート 近年増加する中古品は購入しても問題ない?

チャイルドシート使用期間の目安は?

 チャイルドシートは、どれくらいの期間まで問題なく使えるのでしょうか。こちらについても各社に聞いてみました。

「使用環境などにより大きく差異が出るので、ホームページなどで明記はしていません。0-4歳用が2人目までの想定で8年間。1-11歳用は2人目までは想定せず、10年間が目安となります」(エールベベ)

 万が一の事故の際に子どもの命を守るチャイルドシート
万が一の事故の際に子どもの命を守るチャイルドシート

「使用方法・保管状態により状況が異なりますが、『ひとりのお子さまに1台』が望ましいといえます。これは世界共通の考え方で、アメリカでは“one seat one user”と啓発をおこなっています」(タカタ)

「経年劣化における観点から、注意事項には10年以上経過しているものは使用しないでくださいと記してあります」(マキシコシ&レーマー)

 またコンビでは、過去扱ってきた製品を含めほぼすべてのチャイルドシートの標準使用期間を、公式サイトで公表しています。

●乳児用(~10kgまたは13kg):5年
●乳幼児用(~18kg):8年
●学童用(~36kg):10年

「弊社商品は長い期間御愛用頂いているものが多く、赤ちゃんを守る商品で万が一のことがあってはいけないとのことから標準使用期間を定めました。

 これまで経年劣化が原因の事故があったわけではないのですが、やはり避けられない劣化が起こっている場合もあります。そこでユーザーが目安にして頂きやすいように、公式サイトに掲載しております。」(コンビ)

※ ※ ※

 急増するセカンドユースに対して、取扱説明書の無料ダウンロードや冊子の販売(300円から500円)、紛失したり劣化したりしたパーツの購入を一点から可能にしているメーカーも増えています。

 さらに、チャイルドシートを載せたクルマが事故に遭った場合、ユーザー登録や事故証明書の提出を条件に無償で新品に交換する制度を設けているメーカーもあります。

 国内メーカーではエールベベがいち早くこの制度を導入し、年間で約100件の交換に応じています。(生産終了品の場合は代替品で対応)

 事故に遭った場合のチャイルドシートの取り扱いについて、エールべべは次のようにいいます。

「チャイルドシートは軽度の事故でも衝撃吸収による変形等の可能性があるため、再使用しないのが原則です。

 回転式などの場合、元々衝撃吸収の役目でもあるサポートレッグが変形している可能性があります。ベース(台座)部分とシェル(お子さまが乗る)部分の結合部分やISOFIXのコネクター部分など、可動するパーツ部分、結合するパーツ部分の変形などが想定されます。

 ただし、目で見てわかるような破損などはほぼ発生しないので、逆にそのあたりがリサイクル品などではわからないリスクといえます。

 エールベベの対象製品では保証制度(3年-4年)により、再度チャイルドシートを購入する必要がありません。なお、保証適用の際には事故証明書が必要となります。」

 また、エールベベ以外に、マキシコシおよび、ブリタックスレーマーでも正規輸入元であるGMPインターナショナルによって、同社の直営店及び正規取扱店にて購入された製品を対象に「カーアクシデント無償交換プログラム」を導入しています。

 購入から2年の保証期間内に事故に遭った場合、所定の書類を提出すると無償で新しいチャイルドシートに交換されるので、万が一の事故の際にはこのプログラムを活用すると良いでしょう。

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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