日産が脱オッサンセダンに成功!? スカイライン史上最強「400R」なぜ若者に人気なのか
なぜ若者が購入? 50代後半といわれるセダン市場に何があった?
そんなスカイライン 400Rには、驚くべき現象が起きています。日産によると「購入者の平均年齢が50代後半というセダン市場のなかで、400Rの購入者の約3割は40代以下」というのです。
つまり、400Rは若いユーザーからも多く支持されているといっていいでしょう。昨今のセダン離れから考えると異例ですが、果たしてその理由はどこにあるのでしょうか。

実際に400Rを運転して感じたのは、その高い走行性能でした。405馬力という最高出力は「スカイラインGT-R」も含めてスカイライン史上最強で、よどみなく湧き出てくるようなパワーはまさに圧巻です。
しかも、単に出力が高いというだけでなく、低回転域からでもレスポンスよくシャープに反応すること、そして高回転まで気持ちよく吹け上がる爽快感にも感動を覚えます。
昨今のターボエンジンは、低回転域のトルクの太さを重視する一方で高回転の気持ちよさを持ち合わせていない特性が一般的です。
しかし400Rに搭載される「VR30DDTT型エンジン」は、十分な扱いやすさを持ちながら、爽快なフィーリングが魅力的なのです。
そして6400rpmという最高出力発生回転数は、最新のターボエンジンとしては異例の高回転。走り好きのドライバーにとっては最高のドライビングプレジャーを感じられるユニットといえます。
そういったエンジンの魅力が、400Rの人気を支えていると考えるのが自然でしょう。
筆者(ライター工藤貴宏)も40代ですが、この世代の男性はクルマ好きが少なくありません。
しかも、クルマの情報をどんどん吸収していた中学生の頃にスカイラインが大人気のスポーツセダンだったうえに、「R32型スカイラインGT-R」が発売されるなどハイパワーモデルに対する憧れも大きく抱いています。
そんな同世代が、ある程度収入も安定してやや高額なクルマも選べるようになったときに、圧倒的なパフォーマンスを備えた400Rに注目するのは当然の成り行きといえるでしょう。
しかも400Rの価格は、562万5400円(消費税込、以下同様)と高額ではありますが、400馬力級の超高性能モデルとしてはもっとも安く、中身の濃さを考えればお買い得だといえます。
国産車で400馬力を超える車両はレクサス「RC F」で1040万円なので、400Rは400馬力級のモデルとしてはもっとも手頃で、そこも魅力のひとつなのです。
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新型スカイラインのハイブリッドモデルは、ハイブリッドの採用に加えて「プロパイロット2.0」を搭載するなど時代の先端を進んでいます。
一方、ガソリンモデルの400Rはプロパイロット非搭載ですが、高出力ターボエンジンも従来のクルマの価値観に沿ったものといえるでしょう。一部のクルマ好きにとっては、そんな従来の価値観こそが魅力であり、惹かれるのです。
400Rの人気の秘密は、高出力のエンジンが購入層の心を捉え、事実上ライバルたちよりお買い得だからといってよさそうです。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。


























