人気軽ワゴンの良い点・悪い点は? N-BOX、タント、スペーシアを徹底比較!
似ている軽トールワゴンはどう違う? 良い点と悪い点を比較
運転のしやすさや居住性、積載性、収納性といった実用性を高く、安全装備も充実したN-BOX、タント、スペーシアですが、各モデルの良い点と悪い点はどうでしょうか。比較してみます。
●N-BOXの良い点
N-BOXのホイールベースは2520mmと長く、エンジンや補機類も縦長に配置され、有効室内長をもっとも長く確保しました。
そのために3車種のなかでは車内が一番広く、4名で乗車して荷物もタップリ積めます。スライドドアの開口幅は、左右ともに640mmを確保しました。
インパネやシートなどの質感は、3車種のなかでもっとも優れています。前後席ともシートに十分な厚みを持たせ、座り心地にもボリューム感があります。
路上のデコボコを吸収するので、乗り心地にも良い効果を与えました。乗り心地と静粛性は、N-BOXがもっとも優れているといえます。
また、燃料タンクを前席の下に搭載するセンタータンクレイアウトを採用しているので、荷室の床が低く抑えられています。リアゲート開口部の下端は、地上高を470mmに抑えたので、自転車を積むときも前輪を大きく持ち上げる必要はありません。
●N-BOXの悪い点
N-BOXのメーターパネルは、インパネ最上部の奥まった位置に装着されているので、小柄なドライバーが座ると圧迫感が生じる場合もあります。
さらに、天井が高く、リアゲートの角度が直立しているため、ゲートを開閉すると手前に大きく張り出し、狭い場所では開閉しにくいです。
助手席を前後に570mmスライドできるスーパースライドシート装着車は、ボディの補強もおこなうために車両重量が30kg重くなって、価格も5万5000円高くなります。
運転支援機能のアダプティブクルーズコントロールは、高速道路を走るときにペダル操作を軽減してくれますが、全車速追従型ではありません。速度が時速25km未満まで下がるとキャンセルされます。
●タントの良い点
タントの助手席側のピラー(柱)はスライドドアに内蔵されています。そのために前後ドアを同時に開くと、開口幅が1490mmとワイドに広がります。
助手席を前端に寄せると、体をひねらずに車内に入り、後席に座ることが可能です。子供を抱いた状態、あるいはお年寄りも乗り降りがしやすいです。
売れ筋グレードの運転席には長いスライド機能が備わり、後方に寄せると車内の移動もしやすいです。ワイドに開くスライドドアから車内に入り、子供を後席のチャイルドシートに座らせ、そのまま運転席へ移動するということもできます。駐車位置によっては、ドライバーが助手席側から乗り降りできます。
カスタムグレードには、アダプティブドライビングビームを標準装着しました。ハイビームで走行中に対向車を検知すると、LEDヘッドランプを遮光するので、ハイビームの視界を保ちながら相手車両の眩惑を抑えられます。
誤発進抑制機能は前後両方向に対応して、ブレーキ制御も備わります。
●タントの悪い点
N-BOXに比べると、タントは乗り心地が硬く感じます。とくに「カスタムRS」は15インチタイヤを装着して足まわりの設定も異なり、操舵感は少し機敏ですが、乗り心地はさらに硬くなります。
内装の質感は見た人によって印象が異なりますが、N-BOXなどに比べると、見栄えを向上させる余地があるでしょう。
運転支援機能のアダプティブクルーズコントロールは全車速追従型で使いやすいですが、N-BOXと違って標準装着ではありません。オプション装着できるのは、ターボエンジン搭載車に限られます。
現行型では、チルトステアリングと運転席の上下調節機能も標準装着からオプションに変更されたので、購入時には注意が必要です。
●スペーシアの良い点
スペーシアはマイルドハイブリッドシステムを搭載しており、しかも車両重量はライバル車に比べて20kgから30kg軽いです。そのためにJC08モード燃費は28.2km/Lとされ、全高が1700mmを超える軽自動車のなかではもっとも優れています。
標準ボディとエアロパーツを装着したカスタム、SUV風のギアという3つのスタイルを用意し、好みに応じて選ぶことができます。標準ボディのフロントマスクは、柔和なデザインで個性的です。
●スペーシアの悪い点
乗り心地が柔軟なわけではありませんが、カーブを曲がるときに、ボディの傾き方が少し大きく感じます。走行安定性と乗り心地は、もう少し向上させる余地があるでしょう。
サイドエアバッグは標準ボディとギアに用意されますが、カーテンエアバッグを装着できるのは、最上級の「カスタムハイブリッドXSターボ」のみです。
N-BOXやタントと違って、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなど、運転支援機能は採用されていません。
※ ※ ※
軽自動車は競争の激しい商品で、既存のライバル車を横目で見ながら開発をおこない、価格を決めています。
従って設計がもっとも新しいタントは、N-BOXやスペーシアに対抗できる魅力と価格を備えていて当然です。タントが販売1位になる資質も十分にありますが、先に述べた通り1か月だけの順位変動で本当の人気は判断できません。
ちなみにダイハツの販売店によると、「現行型の発売当初は納期が3か月少々と長かったのですが、最近は売れ筋のグレードやオプション装備もハッキリして、納期は2か月程度まで短縮されました。生産もようやく軌道に乗ってきました」ということです。
N-BOX、タント、スペーシアの販売合戦は、これから本格化するといえるでしょう。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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