いまのETCが使えなくなる!? 古い車載器に起こる2022年・2030年問題とは

現在、高速道路を利用する約9割のユーザーが使用している「ETCサービス」。しかし、一部のETC車載器が2022年、2030年に使用できなくなるといいます。なぜ、日常生活に欠かせなくなったETCが使用できなくなるのでしょうか。

2022年12月に一部のETC車載器が使えなくなる理由とは

 現在、高速道路利用者の9割以上が利用しているETCサービス。最近では、「ETC2.0」という、高速料金の円滑化(割引サービス)以外にもさまざまな情報が得られる電子料金収受システムも導入されています。

ETCが使えなくなるかも? 2022年&2030年問題とは?
ETCが使えなくなるかも? 2022年&2030年問題とは?

 ETCの正式名称は、電子料金収受システム(Electronic Toll Collection System)といい、頭文字をとった略称で呼ばれています。高度道路交通システムのひとつとして、高速道路や有料道路を利用する際に料金所で停止することなく通過できるシステムです。

 1994年に当時の建設省(現:国土交通省)と道路公団各社が共同でシステムを開発。その後、幾度の試験運用を重ね、首都圏の一部からサービスを開始していき、2001年11月に全国でのサービスが始まりました。

 しかし、2022年12月1日から一部のETC車載器が使用できなくなるといい、さらに2030年には新しいセキュリティ規格の導入により、使用できなくなるETC車載機器が拡大するようです。

 国土交通省およびITSサービス高度化機構、高速道路会社6社は、2018年9月3日に「一部のETC車載器が、2022年12月1日以降使用できなくなる」と発表しました。

 使用不可となるETC車載器は、「2007年以前の技術基準適合証明・工事設計認証(旧スプリアス認証)を受け、製造されたETC車載器」です。

 スプリアスとは、無線設備において必要周波数帯の外側に発射される不要電波の一種のことを指します。

 この不要電波を減らす改正内容は、2005年にWRC(世界無線通信会議)が定めた無線通信規則改正の内容に盛り込まれていたものです。

 そのため、現在では電波障害の原因となるスプリアスをできる限り低減するため、法令により発射強度の許容値が規定されています。

 現行の許容値は2005年12月から適用され、2年の経過措置期間を経て2007年12月に全面適用となりましたが、旧規格で認証を受けた無線設備も2022年11月末まで延長して利用できる期限によって、古い規格のETC車載器が使用できなくなるのです。

 旧スプリアス規格品を2022年12月以降に取り付けていた場合、電源と接続し電波を発することができる状態であれば、電波法違反に当たる可能性があるといいます。

 国土交通省高速道路課は、「規制対象か否かの判別は、商品の外観や車載器管理番号(車載器ごとにメーカーから付番された19桁の識別番号。車載器本体などに記載されている)からはできないといいます。2007年以前のETC車載器については、個別にメーカーへ問い合わせてください」と説明しています。

※ ※ ※
 
 おもなETC車載器メーカーは、商品型式ごとにスプリアス規格の新旧対応をウェブサイトに掲載。たとえば、三菱電機では「当社の全てのETC車載器は新スプリアス規格に対応しており、2022年12月1日以降も安心してご使用いただけます」説明しています。

 また、パナソニックや古野電気においては、生産終了品のなかに旧規格対応のものもいくつか存在するようです。

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