ライバルのドイツ3強モデルにスポーティさで勝る? 新型ボルボ「S60」PHEVに試乗

ボルボS60の走りは「大人のスポーティ」

 今回試乗したのは「S60 T6 TWIN ENGINE AWD INSCRIPTION(S60 T6ツインエンジンAWDインスクリプション)」です。

T6にはスウェーデンのブランド「オレフェス」のクリスタルガラス製シフトレバーが採用される
T6にはスウェーデンのブランド「オレフェス」のクリスタルガラス製シフトレバーが採用される

 ツインエンジンというのは、前輪をエンジン/後輪をモーターで駆動するAWDのことです。

 前輪は2リッターターボエンジンで駆動します。このエンジンに付属して「CISG」と呼ぶ小さな電気モーターがあり、発電機にも駆動用モーターにもなります。これはエンジンの始動にも使われます。

 後輪は、87馬力/240Nmを発生する電気モーターで駆動するPHEV(プラグインハイブリッドEV)です。交流200Vのコンセントがあれば家庭で充電でき、バッテリー容量は34Ahで、エンジンをかけずに数10km走ることが可能です。

 雪国では4WDとして使える点ももちろんメリットになりますが、充電していれば翌朝出発時の車内の空調を整えておけるところもこのPHEVの大きなメリットになります。

 リチウムイオンの二次バッテリーは、センターコンソール部分に収められています。4WDといっても、後輪を駆動するためのプロペラシャフトはないので、そこがバッテリーのスペースになります。

 ボルボの車室内は華美ではないですが、どのモデルでもスッキリしたデザインで飽きがきません。同じスペースだとしても、より広く使える気がします。具体的にいえば、クルマに乗り込んでからコートやジャケットを脱ぐときにも、不思議と身体が動かしやすいのです。

 このT6が、他のグレードと異なる点のひとつに、ATのセレクターが挙げられます。クリスタルガラス製で目立ちます。

 インストルメントパネルの左側はスピードメーターで、右側はタコメーターの代わりにハイブリッド用のメーターが付きます。

 アクセルペダルを踏んでいくと、9時の位置から時計回りに針が回っていき、アクセルペダルを戻したときやブレーキペダルを踏んだときには、9時の位置から反時計回りでエネルギー回生の様子をチェックすることができます。

 おもしろいのは、バッテリーだけで走ることができる、つまりEV走行できるアクセルペダルの踏み込み量がわかることです。

 ハイブリッドメーター上に青いバーが伸びていて、その範囲のアクセル開度ならエンジンは始動せずにEV走行できます。このバーの長さは二次バッテリーの容量に応じて変化します。どのように走らせるかをドライバーが選択できるようになっているのです。

 ハイブリッドメーターの5時から7時までのスペースはガソリンの燃料計になり、3時から5時まではバッテリーの残量がわかるメーターがレイアウトされています。

 S60 T6はPHEVですが、いったいどれくらいの燃費で走れるのかは気になるところでしょう。じつは夏にワゴンボディのV60 T6を2週間ほど借りて乗っていました。

 筆者の自宅には200VのEV用コンセントがあるので、可能な限り夜間はプラグインで充電していました。その方法で市街地だけを走行していると、25km/Lから30km/Lくらいで走りました。1日の走行距離が短いときには、30km/Lオーバーも珍しくはありませんでした。つまり二次バッテリーで走っているから、あまりガソリンを使わないためです。もちろんそのぶん、充電した電気代はかかっています。

 V60 T6で東京から京都まで往復もしました。このときには途中で充電しないので、PHEVというよりは単なるHVという使い方になります。京都までの往復は高速道路ですが、ここでの燃費はだいたい14.5km/Lから15km/Lの間くらいでした。これは車格を考えると決して悪くない燃費です。

※ ※ ※

今回は、もう一台試乗しました。それはS60 T4というベーシックなFWD(FF)モデルです。

 こちらは単なるガソリンエンジンだけのFWDですが、じつに軽快に走り、乗りやすいクルマでした。アクセルペダル操作に対するエンジンの反応、ハンドル操作に対するヨーの反応などが非常に素直で扱いやすいのです。このS60 T4は、クルマに気を使わずに走れるモデルです。

S60は、ガソリンモデルでもPHEVのT6でも、基本的には「スポーティなセダン」という位置付けができると思います。

 しかしそれは、日本的なスポーティさではなく、大人の味付けでいう「スポーティ」です。

 つまりハンドル角が小さくてもカクッと曲がったり、アクセルペダルの開度が小さくてもビュンと飛び出すような加速ではなく、ドライバーの意思に忠実に動いてくれるから、大人の味付けなのです。とくにS60 T4は、その素性の良さが味わえるモデルだと思います。

試乗車:ボルボS60 T6 ツインエンジンAWDインスクリプション

●車両本体価格(消費税込):779万円

●試乗車オプション込価格(消費税込):829万2000円

・全長:4760mm
・全幅:1850mm
・全高:1435mm
・ホイールベース:2870mm
・車両重量:2010kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ&スーパーチャージャー+電気モーター
・排気量:1968cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT
・最高出力:253馬力/5500rpm
・最大トルク:350Nm/1700-5000rpmz
・モーター最高出力:34kW(前)/65kW(後)
・モーター最大トルク:160Nm(前)/240Nm(後)
・公称燃費(WLTC):13.7km/L
・サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/インテグラム
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤ:235/45R18
・ホイール:8Jx18

スウェーデンのPHEVは走りも上質! ボルボS60 T6ツインエンジンを画像で見る(25枚)

【2024年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

1 2

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー