車内もまだ寒いから…幼児を厚着のままチャイルドシートに乗せると危険な訳とは
未だに発生しているチャイルドシートの危険な使用方法とは?
10年ほど前まで、チャイルドシートの固定は車両のシートベルトでおこなうのが主流でした。
取り付けたことがある人ならお分かりだと思いますが、がっちりと取り付けるにはチャイルドシートの上に大人が乗って体重をかけながらシートベルトを締めあげるなど、力もコツも必要でした。
その後、2010年頃から日本でもISO FIX(アイソフィックス)固定のチャイルドシートが販売されるようになり、近年は2万円以下で買えるリーズナブルな製品も出るなど、以前に比べてISO FIXチャイルドシートの購入のハードルはぐっと下がっています。
クルマ側のISO FIXへの対応も進み、2008年から2009年以降に販売された新車からISO FIXの金具が標準装備されはじめ、道路運送車両法により2012年7月以降は全車に装備が義務付けられました(2人乗りスポーツカーなど一部を除く)。
計算上は、現在日本で保有されている車両の7割前後にISO FIX金具が装備されています。
ISO FIXチャイルドシートの普及によって、チャイルドシートがクルマのシートにしっかりと固定される率は各段に高くなりましたが、今度は「子どもの座らせ方(ハーネスの使い方)」に大きな問題が出てくるようになりました。
JAFと警察庁が毎年おこなっている、「チャイルドシート全国使用状況調査」でも明らかな結果が出ています。
2019年8月に公表された最新データによると、6歳未満のチャイルドシート使用率が、調査開始以来初めて7割を超えましたが、その一方で乳児・幼児における着座状況は6割から7割前後に誤りがあることがわかりました。
なかにはチャイルドシートを固定せず、座席の上にただ置いているだけというケースもあったそうです。
着座時のミスユースのほとんどを占めるのがハーネスの使い方です。ハーネスの高さが合っていなかったり、締め付けが緩かったりすると、子どもの安全が確保できません。
そして、コートやジャケット、おくるみなどを着せたままでチャイルドシートに乗せてハーネスを締めることは、ハーネスのミスユースと同じことです。
事故の衝撃から子どもを守るためには、上着を脱がせてできるだけ薄着で、「車の座席」「チャイルドシート」「子どもの体」この3つができるだけ密着した状態で乗せることが安全です。
暖房の効いた車内でも、もし子どもが寒いと感じるなら、その上に毛布やひざ掛けなどを掛けてチャイルドシートを使いましょう。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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