車内もまだ寒いから…幼児を厚着のままチャイルドシートに乗せると危険な訳とは
寒い季節に子どもをチャイルドシートへ乗せるとき、分厚い防寒着を脱がせないでチャイルドシートのベルト(ハーネス)を固定する人を見かけます。しかし、この行為は子供の命が守られない、危険な状態だといいます。どのような点が危険なのでしょうか。
防寒具を着たままのチャイルドシートの使用、じつは危険!?
寒い時期、乳幼児をチャイルドシートに乗せる際、ダウンジャケットや分厚いコート、おくるみ(ベビー服)などを着せたまま、座らせていませんか。じつはこの状態、衝突事故などの際、子どもの命に危険が及ぶ、とても恐ろしい行為なのです。なぜ危険だといえるのでしょうか。
分厚い防寒着を着せたままチャイルドシートに乗せて、その上からハーネス(チャイルドシート本体についている、子どもの体を固定するためのベルト)を締めた場合、見た目はしっかり締まっているように見えます。
しかし、実際はハーネスと子どもの体の間に分厚い防寒着があることによって、子どもの体を守るハーネスの拘束力が100%ではない状態になっているのです。
防寒着に子どもの体を守る力はありませんから、結局、ハーネスが締まっていないユルユルの状態で乗せているのと同じこと。
この状態で強い衝撃を受けると、ハーネスで拘束されていない子どもの体は2本の肩ハーネスの間から飛び出し、最悪の場合、窓ガラスを突き破って車外に放りだされてしまうのです。
チャイルドシートは座席にしっかり残っているのに、赤ちゃんだけが車外に放り出されて重傷を負ったり亡くなったりする、悲惨な状況となる危険性も十分にあるということを知っておきましょう。
警察や業界団体のサポートを受けて、チャイルドシートの正しい使い方や安全なチャイルドシートについての情報を発信する英国のNPO団体「GOOD EGG SAFETY」も、「厚着のまま子どもをチャイルドシートに乗せないで!」と警告しています。
同団体では、分厚いコートの上からハーネスを締めた状態が、実際はどんなことになっているのかを解説する動画を作成して、危険性を紹介しています。
動画では、ふわふわの中綿コートを着た子どもが登場し、着せたままチャイルドシートのハーネスを締めます。
その後、一度子どもをチャイルドシートから降ろして、コートを脱いでハーネスの締め具合が同じ状態のチャイルドシートに再度乗せました。すると、ハーネスはユルユルな状態で、手でハーネスを引っ張ってみるとたくさんのすき間があることがわかります。
この状態で強い衝撃を受けると、子どもの体はハーネスの間から飛び出して、床に転げ落ちたり、車外に放出されたりして亡くなる危険も十分にあります。
筆者(加藤久美子)は、一般財団法人 日本交通安全教育普及協会認定のチャイルドシート指導員の資格を持っていますが、指導員の研修では、「子どもの体とハーネスの間に指2本が入るくらいのキツさで締めてください」と教えられました。
これより緩いと、事故ではなく急ブレーキの衝撃でも、子どもの体がハーネスの間から飛び出してしまう危険があるのです。
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