日本を代表するセダンに君臨する「クラウン」 初代から変わらないコンセプトとは?

トヨタの乗用車ラインナップのなかで、現在、もっとも長い歴史を持っているモデルが「クラウン」です。1955年に初代が発売されてからモデルチェンジを重ね、現在の15代目まで、なにが変わり、なにか変わらなかったのでしょうか、ひも解きます。

常に日本を代表する高級セダンであり続ける「クラウン」

 1955年に、トヨタはオーナードライバー向けの高級乗用車「トヨペット クラウン」を発売。当時は、電気洗濯機、電気冷蔵庫、テレビが「三種の神器」と呼ばれて庶民の憧れとなっていた時代で、マイカーはまだまだ夢のような存在でした。

 その後、多くの人がマイカーを手に入れられるようになると、クラウンは消費者のニーズを的確に捉え、常に新しいトレンドを取り入れながら進化していきました。

 そこで、トヨタを代表する高級セダンであり続けるクラウンの初代と最新モデルの特徴から、変わったところ、変わらなかったところを、ひも解きます。

●トヨタの技術を詰め込んだ初代「トヨペット クラウン」

これぞセダン! というスタイルの初代「トヨペット クラウン」(画像はアメリカ仕様の左ハンドル車)
これぞセダン! というスタイルの初代「トヨペット クラウン」(画像はアメリカ仕様の左ハンドル車)

 トヨタ「クラウン」の初代となる「トヨペット クラウン(以下、クラウン)」は1955年に発売されました。まだ日本の自動車メーカー各社が、海外メーカーの協力を得ながらクルマを製造していた時代に、トヨタはアメリカ車を手本としながらも、自社の独自技術だけでクラウンを完成させています。

 丸みをおびたボディは、第二次世界大戦後の国内で見られた、高級車であるアメリカのセダンをモチーフにデザインされ、後席の乗降を容易にするために採用した「観音開き」のドアが特徴です。

 クラウンは、それまでの小型トラックから流用していたシャシではなく、フロアが低い乗用車専用シャシを開発し、ボディを架装した作りでした。

 当時は道路の舗装率が低いことから、トラックなどに多く用いられていた耐久性の高い車軸固定式サスペンションが主流でしたが、クラウンは乗り心地の良い独立懸架サスペンションを採用。

 その耐久性を証明するために、ロンドン-東京間の5万キロドライブを敢行して8か月かけて完走するなど、完成度の高さを国内のみならず海外にもアピールしました。

 また、当時はオプション扱いが普通だったヒーターや、高級車らしくカーラジオを装備したグレードが追加されるなど、装備を充実させています。

 ボディサイズは全長4285mm×全幅1680mm×全高1525mmと、現在ではコンパクトカーに分類されますが、当時は立派なミドルクラスのセダンでした。

 搭載されたエンジンは、最高出力48馬力の1.5リッター直列4気筒OHVで、マイナーチェンジで国産市販乗用車初のディーゼルエンジンや、小型車規格の変更に合わせた1.9リッターエンジンの追加、オートマチックトランスミッションの「トヨグライド」(2速AT)が追加されるなど、他車の一歩先を歩み始めました。

 そして、クラウンはトヨタ初となるアメリカ進出を果たした、記念すべきモデルでもあります。

 誕生から7年後の1962年に2代目クラウンのデビューにより、初代は生産を終了しました。

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