レクサス新型「UX300e」はなぜ中国で発表された? 日本メーカーも無視できない中国のEV事情とは
中国市場でEVが人気となる意外な理由とは?
中国市場はやや縮小気味とはいえ、世界最大の自動車市場であることには変わりありません。そして同時に世界でもっとも多くのEVが製造、販売されている国でもあります。
しかし、中国の「EVバブル」は補助金という大きな魅力によって成立していたところもあり、補助金が全体的に減少しつつある現在、EV人気もやや下降気味となっています。
一方、EVを後押しする政府の施策はまだ依然として存在しており、中国政府は自動車メーカーに一定数以上の新エネルギー車(EVをはじめとする環境対応車)の製造販売を義務付けている実情もあります。
また、中国特有の事情のひとつとして上海や北京、広州など都市部を中心に地域によってナンバープレートの年間新規発行枚数を制限する規制を導入しているのですが、こちらもEVを含む新エネルギー車に対しては発給制限を免除している地域も少なくありません。
制限があっても、台数的にまだ圧倒的にEVは少ないため、ガソリン車よりははるかにナンバープレートが入手しやすい(=クルマを買いやすい)事情もあります。
(発給制限が導入される地域は今後も都市部を中心に範囲が拡大される可能性がありますが、昨今の自動車販売の失速を受け一部の地域ではナンバープレート発給制限を一時的に緩和する施策も検討されています)
このような特殊な事情があることから、新しいクルマが欲しい人にとってEVの購入は魅力ある選択肢となっています。
とはいえ、補助金やナンバー取得など、クルマの本質とは関係のないところでEVが売れていた、ともいえる状況は、それだけ魅力的なEVが存在していなかった、ということにつながります。
中国の人にとても人気の高い、憧れのブランドであるレクサスから登場するUX300eが、「本当に欲しい」と思わせる魅力を備えたEVとして人気を拡大し、中国EV市場を活性化することは、十分に期待できそうです。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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