レクサス新型「UX300e」はなぜ中国で発表された? 日本メーカーも無視できない中国のEV事情とは
レクサスは、2019年11月22日に同ブランド初の市販EV「UX300e」を中国でおこなわれている広州モーターショー2019で発表しました。レクサスが、EVモデルを中国のモーターショーで初公開したのはなぜなのでしょうか。
EVモデルでも変わらないレクサスのクルマ造りの本質とは
レクサス初の市販EVである「UX300e」が公開されました。発表されたのは、2019年11月22日に開幕した広州モーターショー2019のレクサスブースです。レクサス初の市販EVとだけあって、中国国内を中心に各国から数多くの報道陣が集まりました。
レクサスは日本のブランドであるにも関わらず、記念すべきブランド初のEVは、なぜ日本ではなく中国で公開されたのでしょうか。
レクサスはアメリカで1989年にブランド展開が始まり、2019年でちょうど30年です。世界各国で人気の高い、安定した高級車ブランドとして定着しています。
中国では日本と同じ2005年から、上海、北京などを皮切りにレクサス専売店を展開しており、現在までに中国国内で100万台のレクサス車を販売してきました。
中国の新車販売市場は、2018年には年間販売台数が初の前年比マイナス(-2.8%)を記録するなど、多くの自動車メーカーが販売台数を減らしています。
そんななか、レクサスの販売状況は好調さを維持しており、2019年上半期(1月から6月)にはブランドとして前年比136%の販売実績をマークしました。
また、同年1月から10月の10か月ですでに2018年の1年分に相当する販売台数を突破しています。レクサスは、現在世界170か国以上で販売されていますが、中国はとくにレクサスの人気が高い国といえます。
UX300eの開発主査である渡辺剛氏(レクサスインターナショナル製品企画)に中国でのレクサス人気とEV事情について話を聞きました。
――中国におけるレクサスの評価を教えてください。
中国のお客さまと「ラグジュアリーとはどんなことなのか」についてディスカッションしたことがあります。その際、本物のラグジュアリーとは、「品質の良いクルマを安心して使えること」だという結論を得ました。
これは中国市場に限らず、レクサスがクルマ作りにおいてもっとも大事にしていることです。
クルマを手にしたらあとはもう何の不安を感じることなく、安心して使い続けることができる。それがベースにないと、ブランドに対する評価はいただけないと感じています。その先に、お客さまの価値観や好みに応じて選ばれる商品が決まってくると感じています。
――中国でレクサス初のEVを発表した理由は、なんでしょうか。
UX300eはレクサス初の市販EVではあるのですが、私たちはEVだから特別なクルマだとは考えていません。また、EVだからこれまでとは違うクルマ作りをしてきたということもありません。
EVというツールを使ってレクサスがこれまで培ってきた走りの良さや、感性性能、感性価値といったレクサスならではの性能をアピールしていくことだと考えています。
中国は現在、世界最大のEV市場であり、同じく世界でもっとも多くのEVを生産している国でもあります。これは国をあげて、EVの購入や使用を強く推進してきたことが大きな理由です。国が主導でEV市場が動くことはほかではあまり見られないことから、中国特有の事情といえます。
政府の施策とインフラ環境がセットでEVの普及が進むので、どんなに良いEVを作ってもそれだけでお客さまのユーザビリティに対応できるわけではありません。
このような世界最大のEV市場において、レクサスがEVという選択肢を持っていることが重要だと考えました。
インフラの整備を含めて、地域ごとに必要な商品、EVに求められることを考慮した結果、UX300eがいまの中国に一番適した形であると考えて開発を進め、この度の導入に至りました。まずはUX300eを中国で販売し、やがて欧州、そして日本での展開を進めていきます。
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