中国は「安心・安全」が重要課題? レクサスEVの「UX300e」で見えたEV先進国の課題とは

なぜレクサスは「安全・安心」を強調したのか?

 陳氏のプレゼンテーションからは、安全や安心という言葉が多く聞こえました。中国語の安全と安心は日本語とほぼ変わらない意味を持っています。レクサスがUX300eでこのふたつの言葉を押し出したのには、EVの先進国である中国ならではの課題があるからです。

レクサス初のピュアEVとして「UX300e」が中国で世界初公開された
レクサス初のピュアEVとして「UX300e」が中国で世界初公開された

 すでにEVが馴染みのあるものとなっている中国では、販売後の課題も見えてきています。たとえば、充電を繰り返したことで起こるバッテリーの劣化や、高温/低温下でのパフォーマンスの低下、各部品やソフトウェアの不具合などです。

 また、足回りや内装のヘタリといった、ガソリン車同様の課題もあります。もちろん、メーカー側でも十分なテストをおこなっているとされていますが、実際に市場に出始めてわかることも少なくありません。

 そして、より深刻なのはリセールバリューの低下です。日進月歩で進化するEVは、旧モデルの陳腐化が早く、一方で中古車市場も形成されていないため、買取相場が不安定です。

 また、中国ではEVの新車購入時に多くの補助金が得られるため、中古でEVを購入するメリットが薄く、結果として中古車の買取価格が低くなってしまうのです。

 レクサスが、安全と安心を打ち出したのは、こうした中国EV市場の課題が背景にあると考えられます。

 中国では新興EVメーカーなどが多くのハイパフォーマンスEVを発表しています。美しいデザインと圧倒的なスペックによって、一見素晴らしいクルマに見える一方で品質や安全性、そしてリセールバリューに対して不安に思う中国人も少なくありません。

 そんな中国のEV市場に後から登場したUX300eは、すでに実用域を超えてマーケティングのための数字となっている0-100km/h加速や最大航続距離を打ち出すわけではなく、あくまで普通に使うためのクルマとして安全や安心がアピールされたのは、そうした過熱するEVマーケティングへのアンチテーゼも含まれているのかもしれません。

 今後、日本でもますます増加するであろうEVですが、EVが増えれば増えるほど、アフターメンテナンスやリセールバリューといった新たな課題が登場します。EV市場として一歩先をいく中国の今後に注目です。

「青色=EV?」 レクサス初のEVを画像で見る!

参加無料!Amazonギフト券贈呈 自動車DXサミット BYD登壇 最新事例を紹介(外部リンク)

画像ギャラリー

Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

1 2

実績500万人超!お得に車売却(外部リンク)

新車不足で人気沸騰!欲しい車を中古車で探す

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る

【2025年最新】自動車保険満足度ランキング

最新記事

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー