フェラーリが一時代の終わりを告げる? 最新V8モデル「F8トリブート」F1開発サーキットで試す!
フェラーリの最新V8ミッドシップ「F8トリブート」に、フェラーリのお膝元であるフィオラーノ・サーキットでモータージャーナリストの山崎元裕氏が試乗してきました。前モデルである「488」の正常進化版といえるF8トリブートは、どれほどのポテンシャルを秘めていたのでしょうか。
フルモデルチェンジではなく、実質的には488のビッグマイナーチェンジ版!?
フェラーリの最新V型8気筒(以下V8)ミッドシップ、フェラーリ「F8トリブート」に試乗しました。
フェラーリはここ30年ほど、各ジェネレーションの途中でビッグマイナーチェンジをおこない、そのパフォーマンスを大幅に高めるというモデルチェンジの戦略を繰り返してきました。
348からF355へ、360に対してはF430、そして458のビッグマイナーチェンジ版は488というようにしてパフォーマンスを高めてきました。その戦略が今回も繰り返されるのであれば、究極の488たる488ピスタが誕生した後に登場するのは、フルモデルチェンジによる次世代のV8ミッドシップということになるのですが、フェラーリはここで改めて488を正常進化させたニューモデルを誕生させました。
それこそが、「フェラーリの8気筒エンジンに尊敬の念を込める」という意味から、F8トリブートとネーミングされたニューモデルです。
フェラーリは2018年に、488GTBをベースにさらにサーキット走行へとフォーカスしたモデル、488ピスタをデビューさせていますが、今回試乗したF8トリブートは、この488ピスタとは異なり、あくまでもサーキット走行も可能なオンロードモデルとして開発されたものだとフェラーリは説明します。
とはいえテスト・ドライブのために用意されたF8トリブートのエクステリア・デザインは、488GTBのそれと比較するときわめてアグレッシブに感じられるもので、もちろんエアロダイナミクスにおいても、F8トリブートのデータは488GTBのそれを大きく上回っています。
例えばCd値はマイナス5%、ダウンフォースの最大値は10kgの増加とされていますが、これらはもちろん、新たに採用されたさまざまなエアロデバイスの恩恵によるものです。
F1マシンが由来となるフロントのSダクトやリアのブロウンスポイラー、アンダーボディと路面との間で構成されるヴェンチュリートンネル等々の相乗効果で高性能な、そしてもちろんフェラーリらしく美しいボディが完成されることになりました。
1987年に登場したF40からインスピレーションを得たという、3段のルーバーが備わるレキサン製のエンジンカバーをオープンすると、搭載される3.9リッターのV型8気筒ツインターボエンジンの姿がさらにダイレクトに視界へと飛び込んできます。
最高出力の720馬力、最大トルクの770Nmは488ピスタのそれと共通の数字ですが、これを488GTBと比較すると、各々50馬力、10Nmの強化という結果になります。
ターボチャージャーをワンメイクレース車両の488チャレンジから受け継いだほか、このターボを始めとするムービングパーツの軽量化、そして吸排気システムの改良などをおこなったことで、フェラーリ自身が「ゼロ・ターボラグ」と呼ぶ、優れたアクセルレスポンスが実現されています。
組み合わされるトランスミッションは7速DCT。このミッションのシフトスピードや、ビークルダイナミクスを司る各種の電子制御デバイスの設定を、ステアリングホイール上の「マネッティーノ」で変更できるのは、すでにフェラーリのカスタマーにはお馴染みのシステムでしょう。
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