なぜ「クーペ風」デザインが人気? SUVもセダンもクーペのようなクルマが流行る理由
クーペ風は本当のクーペより格段に使い勝手がよい
日本でも、昭和の時代であれば、カローラにクーペが用意されるなど、もっと身近な存在でした。ところが平成に入って、日本ではミニバンやエコカーが大人気になり、本物のクーペはすっかり激減してしまいました。

本物のクーペが減少した一方で、クーペ風は日本だけなく世界中で大流行となります。SUVクーペのブームは、とくに最近になって目立ってきました。
そもそもSUV自体が、2010年代に世界のビッグウェーブとなり、もともとSUVが大好きだったアメリカだけでなく、自家用車が急激に普及してきた中国でも、2台目に買うクルマとしてSUVの人気が高まりました。
急激な経済成長でクルマが買えるようになった中国人が最初に購入したのがセダンで、次にクルマを買うときに「同じクルマでは面白くない」とSUVを選ぶ人が増えたのです。
そうしたトレンドはアメリカと中国だけでなく、日本や欧州にも大きな影響を与え、それぞれに数多くのSUVのヒット車が生まれます。
海外のモーターショーを取材していると、「どのメーカーも発表するコンセプトカーや新型車はSUVばかり」ということに気が付きます。
そして、あまりにSUVばかりということもあったのでしょう。ここ数年のコンセプトカーの多くが、ただのSUVではなく、どれもこれもSUVクーペ風になってきたのです。そして実際に販売される新型車にもSUVクーペが増加し、SUVクーペが頻繁に話題に上るようになります。
確かにクーペ風は便利なクルマです。ドアの数は、実のところ、ほとんどのクーペ風は4枚あります。2枚しかない本物のクーペよりも便利です。
室内の広さは、屋根の高い普通のセダンやSUVよりも不利ですが、それでも本物のクーペよりも広くなっています。普段使うのは自分だけ、もしくは夫婦やカップルだけというのであれば、後席の頭上が少々狭いクーペ風でも、それほど不都合はありません。
そして、なんといってもクーペ風は、普通のSUVやセダンよりも確実に格好良く見えます。同じお金を出すのであれば、見栄えの良いものを選ぶ人は、どこにでも一定数いるものです。
普通のSUVやセダンよりも格好良くて、利便性の低下はほんの少し。トレンドということで、どんどんと新しいクーペ風のクルマがデビューしています。この流行は、まだまだ続くのではないでしょうか。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。






























