NISMOが造ったR35「GT-R」CRSは550馬力以上をミニサーキットでも使い切れる仕上がりだった!
R35 GT-R CRSは速さを飛び越えて気持ちよさすら感じさせる
ほんの僅かな時間のなかで、それを体と頭で感じ取ることができるのは、ダンピング時の懐が深いからでしょう。
タイトなコーナーでステアリングを切りすぎればアンダーステアも出ます。しかし、しっかり感があっても硬さを感じないダンパーはスイートスポットが広く、アマチュアドライバーでも挙動がわかりやすい仕様になっていると感じました。
クリッピングポイントできっちり向きが変わっているのを感じたと同時に、アクセルをフラットアウトします。するとCRSは4WDのトラクションをもって、550馬力以上になっているであろうパワーをもって一気に路面を蹴飛ばします。
また、エンジンが高回転まできれいに吹け上がるのも特筆すべきポイントでした。
オーバーホールをしたうえで「S1」チューニングを施したVR38DETT。MY11仕様のタービン(GT-R2011年モデルのもの)に、レース車両であるGT3と同じ仕様のカムを投入したエンジンは、開発陣いわく中低速トルクの向上が狙いとのことでしたが、往年のRB26DETTを彷彿とさせるような根詰まり感のないターボフィールは、その速さを飛び越えて気持ちよさすら感じさせる仕上がりになっていました。
スポーツサスペンションキットだけで151万円(組み付け工賃込み)というプライスを聞くと、正直驚きを隠せません。しかしこれがNISMO最高峰のシステムだと考えれば、納得ができます。
GT-Rは世界のスーパースポーツたちに立ち向かえる数少ない国産車であり、その速さはもはや折り紙付きです。今度はその速さを、オーナーがクラブマンレーサーとしてコントロールする。
GT-Rを少しずつ自分のものにしていく手段としてCRS仕様にするというのは、とても贅沢ですが夢のあるチューニングだといえます。
Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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