スズキ「アルト」初代モデルvs最新モデル 40年貫いたブレないコンセプトとは
スズキ「アルト」といえば、軽自動車のなかでもシンプルなクルマとして知られています。特徴的なスタイルのほか、実用仕様から高性能バージョンの存在など、軽自動車のエッセンスをすべて詰め込んだクルマといえます。初代アルトから最新世代ではどう変わったのでしょうか。
市場ニーズに合致した実用車からスタートした「アルト」
初代スズキ「アルト」は、1979年にスズキの軽乗用車「フロンテ」の兄弟車としてデビューしました。
割り切った装備ながら驚異的な低価格で発売され大ヒットとなり、各メーカーが追従して軽商用車を発売したことで、軽ボンネットバンブームを巻き起こしました。
その後のモデルチェンジのなかでは、高性能化に対するニーズを早期に捉え、軽自動車初のDOHCインタークーラーターボエンジンを搭載した「アルトワークス」シリーズを投入するなど、常に軽自動車市場をけん引してきました。
そして、市場のニーズなどの変化に対応するため、アルトも代をかさねるごとに大きく変わっていきます。そこで、今回は初代アルトと最新型アルトを紹介します。
●1979年発売の初代「アルト」
1976年に改訂された軽自動車規格に合わせ、各メーカーがそれまでの360ccから550ccへの排気量拡大や、全長3200mm×全幅1400mm×全高2000mmの、新規格サイズに対応したモデルの発売が一段落した1979年、初代アルトが登場しました。
一般的に軽自動車は1名から2名乗車で利用することが多いことから、前席に余裕あるスペースがあれば移動手段としては問題ありません。
そこで、当時の物品税が商用車には課せられなかったことから、アルトはリアシートがミニマムの商用車として販売されました。
さらに、装備も極力簡素化し、徹底したコスト削減をおこなうことで、価格は47万円からという驚異的な低価格を実現。
参考ですが、1977年に発売された三菱「ミニカ」の最廉価グレードが54万5000円でしたから、アルトの価格は相当なインパクトがあったでしょう。
排出ガスの規制も緩い商用車としたことで、従来から製造していた550cc直列3気筒2サイクルエンジンを搭載。FF駆動で室内空間を広くし、低価格でありながら移動手段としては必要にして十分なクルマとなりました。
ほかにもコストダウンの手法として、メッキ処理を施さず簡素なグレー塗装がされたスチール製バンパーの採用や、助手席にはドアキーシリンダー(鍵穴)を装備せず、ウインドウ・ウォッシャーは電気式ポンプではなく、ゴム製のボタンを指で押す手動式という徹底ぶりでした。
もちろんパワーステアリング、エアコン、パワーウィンドウなどの快適装備は一切ありませんでした。
さらに、1981年に軽商用車にも2%の物品税が課せられるようになると、課税対象外だった2シーターモデルを廉価版として投入し、47万円の車両価格を維持するなども驚くべき点でした。
50代以上のクルマ好きであれば、2サイクル3気筒エンジンの独特の排気音と、エキゾーストから吐き出される煙とともに走り去る姿を、懐かしく思い出せる人も多いのではないでしょうか。
3気筒の2サイクルはいい音出してたな
これを4MTで操ると正しくスポーツカーだったな
本来は性能を出しきれる車がスポーツカーのように思うけどね
だから軽トラでもスポーツカーに成りうるわけでして