トヨタ新型「RAV4」の走りは海外でも通用するか!? 欧州で見せたハイブリッド仕様の実力とは

新型RAV4が欧州で見せた走りの実力とは!?

 試乗で走行するルートは、ベルギーにあるトヨタの欧州拠点であるTME(トヨタモーターヨーロッパ)からニュルブルクリンクまでの道のりです。一般道やカントリーロード、高速道路(アウトバーン含む)もルートに含まれ、約600kmを走行しました。

トヨタ「RAV4」(欧州仕様)
トヨタ「RAV4」(欧州仕様)

 実力の高いダイナミックフォースエンジンとモーターの組み合わせは、日本仕様と同じく「電動ターボ」のような力強さが感じられます。ハイブリッドが苦手といわれる日本の巡航速度を超えた高速域で走り続けても、パワーの落ち込みはほぼ感じません。

 電気式CVTは、アクセルをベタ踏みしない限り自然なフィーリングを感じさせる点は日本仕様と同じですが、パドルシフトを活用するとワインディングではエンジン回転が落ちないので、よりメリハリのある走りが可能でした。これは早急に日本仕様にも設定すべきだと思います。

 ちなみに最高速はメーター読みで190km/h(カタログ値は180km/h)を記録しました。

 また、目線がブレないフラットな乗り心地と、ステアリングに軽く手を添えるだけでビシーッと走る直進安定性は、アウトバーンのハイスピード領域でも印象は変わりません。

 静粛性は基本的には高いレベルですが、それゆえに高速巡航時に路面変化に対して敏感なロードノイズや、ドアミラー付近から聞こえる風切り音など、細かい部分が気になりました。

 このあたりはイタチごっこですが、より高みを目指すためには改善を期待したい所です。

 驚いたのはワンディングでの走りです。ニュルブルクリンク近郊の一般道は、白線のない対面通行で100km/h前後で流れています。

 そんななか、RAV4は決してコンパクトとはいえないボディサイズ/重量ながら、ドライバーの細かい操作にも忠実に反応する応答性、速度を落とさすに路肩ギリギリまで使えるコントロール性、アウト・イン・アウトのラインを通らなくても安心して走れる正確性の高いハンドリングを持ち、「目線の高いスポーティハッチ」といってもいい過ぎではないと思います。

 加えてハイブリッドにもガソリン車のような「キビキビ感」や「軽快さ」があったら、と欲が出てしまったほどです。

 今回は全域で日本より速いペースでの走行でしたが、燃費はカタログ値(17.2km/L:WLTP複合サイクル)を超える18.2km/Lを記録しました。「速度域の高い欧州では、トヨタのハイブリッドシステム『THS-II』は燃費が良くない」は過去の話です。

 ちなみに欧州仕様と日本仕様で若干の仕様の違いはあるようですが、走りの考え方は共通だそうです。

 なかには「日本ではそんな速い速度で走らないし」という人もいるかもしれませんが、筆者は厳しい条件で安心して走ることができる=日常域での愉しさや気持ち良さ、そしてクルマの信頼に繋がると考えています。

 今回、欧州でRAV4の潜在能力の高さを実感したことで、豊田章男社長が常日頃語っている「もっといいクルマづくり」の本気度がより明確になったような気がしています。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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