日産「GT-R」登場から12年! 日本が誇るスポーツカーのR35型の歴史とは

50周年のGT-R、最新モデルはどこが変わった?

 そして、最新の2020モデル(2019年4月)で、GT-R NISMOが大きく変更されています。2018モデルがスキップされたのは、2017モデルのときと同じ理由だそうです。

 エンジンスペック(600馬力/652Nm)に変更はありませんが、よりリニア/よりレスンポンシブな特性を目指し新型ターボに変更。それに合わせてエンジンとのマッチングや6速DCTの制御も見直されています。

 シャシは、コーナリング性能の引き上げのために、グリップと接地面積を向上させた新タイヤ、軽量高剛性のアルミホイール、強力な制動力を生むカーボンセラミックブレーキ、サスペンションの見直しはもちろん、車体は軽量化と剛性アップのためにルーフ/ボンネット/フロントフェンダーをカーボン製に変更。シートも同じレカロ製ですが全面刷新と、車両全体に大きく手が入っています。

 通常モデルは、アブレダブルシール採用のタービンやトラックエディションにカーボンブレーキのオプション、サスペンションの最適化、軽量化しながら剛性を上げた新デザインのアルミホイールなど、NISMOで培った技術を水平展開しています。また、新色「ワンガンブルー」は、スカイラインGT-R(R34型)で採用した「ベイサイドブルー」のオマージュになります。

 この2020モデルの標準モデルをベースに50周年を記念した特別なモデル(2020年3月までの期間限定)が「GT-R 50th Anniversary」です。エクステリアは3つのカラーコーディネイトが用意されていますが、これは過去に日本グランプリで活躍した通称ハコスカのスカイラインGT-R(C10型)のレーシングカーに採用されていた「日産ワークスカラー」のオマージュになります。

 インテリアは専用内装色「ミディアムグレー」や専用ステッチ入りアルカンターラルーフトリム、50周年記念ロゴ(センターコンソール/メーター/キッキングプレート)と特別なモデルの証が随所に配置されています。

2020年モデルをベースにした50周年特別仕様車
2020年モデルをベースにした50周年特別仕様車

 このように「最新のGT-Rは最良のGT-R」であることは間違いありませんが、なぜアップデートを続けることができるのでしょうか? 

 現行モデルのR35型は、開発時に水野さんは自前主義にこだわらず、有能なパートナーやサプライヤーとの協業で効率的な開発をおこなったことで、従来想定される開発予算よりも大幅に押さえて生まれたといわれています。ちなみに、未来(=アップデート)の開発計画もその予算内でおこなっていたというウワサもあるようです。

 また、現在も年間3000台レベルを維持している安定した販売実績も進化・熟成の後ろ盾になっているはずです。確かに絶対的な販売台数だけ見ると主力モデルとは比べ物にならないレベルですが、1台あたりの価格を考えるとビジネス的には重要なモデルであるといえるかもしれません。

 販売台数では日本、アメリカ、イギリスの順だといい、2020モデルのGT-R NISMOはオーダーが殺到しており、今注文を入れても2019年度中の納車は難しいそうです。

 このようなことを踏まえると、「日産の象徴だから採算度外視で開発」ということは決してないでしょう。それならば、GT-Rと同じブランドバリューを持つフェアレディZも同様の進化をしていないとおかしいです。

 しかし、デビューから12年、時期的にはいつフルモデルチェンジしてもおかしくないタイミングですが、次期モデルの情報は噂レベルでも聞こえてきません。

 ただ、ひとついえるのは、R35とは全く異なるアプローチのスーパースポーツになるはずです。そもそも、第1世代、第2世代、そして第3世代は同じGT-Rと名乗っているものの、「目的」も「手段」も異なります。

 現在、日産は「電動化」と「電脳化」が経営の柱となっていますが、それが次期GT-Rを紐解くヒントなのかもしれません。

外見は地味に違う? 中身は大幅進化し続けるR35型GT-Rの画像を見る(21枚)

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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1件のコメント

  1. GT-Rに取り付かれたような記事だな
    自分的にはR32でアテーサETSを用いた時点で没!なのだが
    言うならRB20DETのGTS-4までだろね

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