まさに究極のモンスターマシン! 懐かしのエボリューションモデル5選
危険なほど速くなりすぎた究極のエボモデル
●プジョー「205 ターボ16」
1983年に登場したコンパクトハッチバックのプジョー「205」は、日本ではそれまで無名に近かったプジョーの名前を浸透させたといっていいクルマです。
国内には1986年から正規輸入が開始され、1.6リッターエンジンを横置きに搭載したFFで、スポーティな「205GTI」が人気となりました。
そして、エボモデルは1984年に追加された「205 ターボ16」になります。
WRCでアウディ「クアトロ」が快進撃を続けていたなか、フロントエンジンでは4WDであっても旋回性能に限界があると考えた、プジョーのモータースポーツ部門「プジョー・タルボ・スポール」は、205を4WDにするだけでなくエンジンをリアミッドシップにマウントすることを決意。
当時のレギュレーションの「ターボ係数」で排気量を1.4倍に換算されても2.5リッタークラスに収まる1775ccの直列4気筒ターボエンジンを搭載しました。
205 ターボ16は200台生産された市販モデルでも、安全性に問題のないキャビン以外のボディーカウルにFRPを多用し、張り出したフェンダーやエアロパーツなどで、特殊なクルマであることをアピール。
ホモロゲーションのための市販車では最高出力202馬力と控えめですが、ワークス車両は540馬力を誇り、最強・最速のラリーカーと呼ばれました。
●ランチア「デルタS4」
1979年にデビューしたランチア「デルタ」は、スタイリッシュな5ドアハッチバックで、基本はFFレイアウトのコンパクトカーでした。
そのデルタも、WRCのグループBレース用車両とホモロゲーション用の市販モデルとして「デルタS4」を1985年に投入しました。
「S」はスーパーチャージャー、「4」は4WDを意味し、デルタを名乗っていましたが、FFのデルタとはまったく異なる車体でした。
1.8リッター直列4気筒DOHCエンジンを、高回転域ではターボチャージャーで過給し、低回転域やスロットルオフからの加速時はアバルト製スーパーチャージャーで過給する「ツインチャージャー」を採用。ワークス車両の最高出力は500馬力以上だったといいます。
これをリアミッドシップに縦置きにマウントして、ビスカスカップリング・センターデフを介して4輪を駆動するフルタイム4WDとなっていました。
デルタS4がWRCに参戦すると、瞬く間に勝利を手にしました。しかし、1986年第5戦の「ツール・ド・コルス」で、オーバースピードでコースアウトしたマシンが崖下に転落し炎上。
ランチアのエースドライバーだったヘンリ・トイヴォネンと、コドライバーの両名が死亡するという、痛ましい事故が起きてしまいました。
これ以外にも重大事故が多発していたため、グループBは危険すぎると判断され、1986年シーズンをもって終了することになりました。
シャレードの1000ccディーゼルは1気筒当たりの限界によく挑戦したと思う。
長年に渡り冒険もせずに伝統だのブランドだの酔ったことを言っている企業には成し得ない技術だ。
財力で優れた物ができるなら車なんて物は世に出てこなかっただろ