まさに究極のモンスターマシン! 懐かしのエボリューションモデル5選
「エボ」と名の付くクルマといえば、国内では有名な「ランエボ」がありますが、そのほかにも「エボ」と直接名乗らなくてもエボリューションモデルが存在し、過去にモータースポーツで活躍しました。そこで、国内外のエボリューションモデルのなかから、5車種をピックアップして紹介します。
進化した「エボ」モデルたち
クルマには「エボリューション(Evolution)」と呼ばれるモデルが存在します。エボリューションとは進化、進展、展開、発展などを意味する英単語ですが、クルマの場合、その多くはモータースポーツで勝つためにレギュレーションに合わせ、ホモロゲーション(競技主催者からの承認)を取得した競技用車両のことを指します。
標準車よりも排気量が大きいエンジンへの換載や、逆に排気量によるクラス分けに合わせて少排気量化されたもの、専用チューニングで高出力化されたものや、シャシやサスペンションをターゲットとする競技に合わせてチューニングしたものなどがあります。
現在でも見かけることが多い三菱「ランサーエボリューション」は、車名にもエボリューションを冠して欧州でも「エボ」と呼ばれるほどですが、このクルマもWRC(FIA 世界ラリー選手権)に出場できるホモロゲーションを取得するために、コンパクトボディの「ランサー」に当時の「ギャランVR4」のエンジンをチューニングして搭載した限定生産車からスタートしています。
そこで、国内外のエボリューションモデルのなかから、懐かしい5車種をピックアップして紹介します。
●日産「240RS」
1979年にデビューした3代目日産「シルビア」は、2代目とは大きく異なるデザインの、シャープなボディラインを持つスポーティなクーペ/ハッチバックでした。
発売当初は2リッターと1.8リッターの直列4気筒エンジンのみでしたが、マイナーチェンジ時に「ブルーバード」と共通の1.8リッター直列4気筒ターボエンジンを追加。
さらに「スカイライン2000RS」と同じ2リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載する「シルビアRS」も追加され、デートカーから硬派な走り屋向けまで、幅広いエンジンバリエーションを持っていました。
このシルビアをベースとして、1982年にWRC参戦のため、2.4リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載するグループB・ホモロゲーションモデルの「240RS」が発売されました。
クーリングのために大きく拡大されたフロントグリルと、角張ったデザインの大型なオーバーフェンダーが「只者ではない」ことをアピール。
2基のソレックスキャブが装着され、最高出力240馬力を発揮。970kgの軽量なボディには十分な性能で、主に海外ラリーへの参戦がターゲットだったために200台の生産台数中、左ハンドル車が多くの割合を占めていました。
●ダイハツ「シャレード926ターボ」
1977年に登場したダイハツ「シャレード」は、1リッターの直列3気筒エンジンを横置きに搭載したFFで、コンパクトボディながら広い室内空間を実現しました。
1983年のモデルチェンジで登場した2代目シャレードには、初代同様に1リッター直列3気筒ガソリンエンジン搭載車に加え、当時の世界最小排気量だった1リッター直列3気筒ディーゼルエンジンをラインナップしましたが、ガソリン/ディーゼルともにターボモデルが用意されました。
正確な排気量が993ccのターボエンジンは競技に参加する場合、ターボエンジンとNA(自然吸気)エンジンを公平に扱うために、ターボ車の排気量を1.4倍(当時のレギュレーション)として扱う「ターボ係数」が課せられました。
その結果、シャレードターボは1.3リッターから1.6リッターのクラスで戦わなければなりません。そこで、排気量を926ccまで下げて1.3リッター以下のクラスに参戦できるようにした「シャレード926ターボ」を、WRCのグループBホモロゲーションのための最低生産台数である200台の限定で販売しました。
926ターボは、WRCのグループB(比較的改造範囲が広いカテゴリー)ラリー用車両といっても、チューニングをすることを前提としたベース車両だったので、最高出力は76馬力と、通常のシャレードターボと動力性能に大差はありませんでした。
●メルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」
メルセデス・ベンツ「190E」は、1982年にコンパクトセダンとしてデビューしました。
2リッター未満の排気量と日本の5ナンバー枠に収まるボディサイズだったことで、1985年に日本への正規輸入が開始されると、大ヒットを記録。高級車だったメルセデス・ベンツの敷居を下げたエントリーモデルでした。
日常の使い勝手も良いセダンとして受け入れられた190Eですが、1986年にはレースエンジンのサプライヤー「コスワース」の手により、175馬力を発揮する、2.3リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載したスポーティセダン「190E 2.3-16」が発売。
「DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)」のホモロゲーション取得のために販売されました。
そして1988年には、DTMのレギュレーション変更に合わせて排気量を2.5リッターとした「190E 2.5-16」が登場します。
排気量の拡大によって最高出力は200馬力まで高められていましたが、1989年には、さらにチューニングされたホモロゲーションモデルの「190E 2.5-16エボリューションI」、1990年には最高出力を235馬力まで高められた「190E 2.5-16エボリューションII」が、それぞれ500台生産されました。
とくに190E 2.5-16エボリューションIIは巨大な前後のスポイラーやオーバーフェンダーが装着され、メルセデス・ベンツのクルマとして異彩を放つ存在でした。
シャレードの1000ccディーゼルは1気筒当たりの限界によく挑戦したと思う。
長年に渡り冒険もせずに伝統だのブランドだの酔ったことを言っている企業には成し得ない技術だ。
財力で優れた物ができるなら車なんて物は世に出てこなかっただろ