ボンネットに穴が開いたターボ車が減少! なぜスバルはわざわざ大きな穴を開けているのか?
インタークーラーの設置場所がハンドリング性能にも影響
スバルのターボ車がインタークーラーをエンジン上部に設置する理由は、ほかにもあります。現在、スバルのモータースポーツを担うSTI総監督の辰己英治氏が、1990年代に富士重工群馬製作所で実験部を統括していたときに、次のように説明しています。
「スバルがターボ車のインタークーラーをエンジンの前に搭載せず、わざわざボンネットフードに穴を空けてまで、あの位置に置くのは、フロントオーバーハング荷重が増加する重量物をフロントに載せたくないからです。
数kgとはいえ前輪よりも前のオーバーハングに重たい装置を搭載すると、ハンドリングや回頭性に明らかに悪影響がでます。
また、タービンやインタークーラー、スロットルの配管が短ければ短いほどターボラグが少なく、レスポンスが良くなるため、なるべくタービンの近くにインタークーラーを置きたいのです。そのためエンジン上部にインタークーラーを置き、そこに空気をとりこむためにボンネットにエアインテークが必要になります」
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近年、欧州車から普及した「ダウンサイジングターボ」というエンジンがあります。これは、排気量を小さくし、ターボでパワーを補うことで、さまざまな使用状況でエンジンの効率を高め、燃費向上を狙うという考え方で誕生しました。
国産車ではトヨタ「クラウン」や「カローラスポーツ」がダウンサイジングターボを採用していますが、ボンネットフードにエアインテークはなく、エンジン前部にインタークーラーがありません。
なぜなら、トヨタは「水冷式」のインタークーラーを採用しているためで、インタークーラー用のラジエーターをエンジン前部に置き、インタークーラー本体はエンジン上部にあります。
トヨタは、空気の配管を短くする目的で水冷式インタークーラーを採用したということです。
また、ホンダ「シビックタイプR」は空冷式インタークーラーをエンジン前部のバンパー内に配置していますが、ボンネットにエアインテークを設けています。
これはエンジンルーム内に走行風を取り込むことで、エンジンルームそのものの冷却を目的としているためで、エアインテークの大きさも小ぶりになっています。
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