トヨタ新型「ハイエース」日本はなぜ出ない? 海外先行発売の新モデルは国内販売あるのか
海外仕様はかなり大柄!? 国内の現行ハイエースと比較
海外仕様のハイエースは、エンジンを前側に搭載するミニバンスタイルを採用したこともあり、前述のようにボディが大柄です。
ショートボディでも全長が5265mmとなっており、ロングは5915mmとさらに長いボディを持ちます。全幅も1950mmに達するほどの大きさです。ホイールベースは、ショートが3210mmでロングは3860mmとなっています。
国内で売られるハイエースは、4ナンバーに収まるサイズとなっていて、ロングの全長が4695mm、全幅は1695mmです。乗用車でいえば5ナンバーサイズにギリギリで収まる数値です。
最も大きな1ナンバー車のスーパーロングは、全長が5380mm、全幅は1880mmです。この数値は海外仕様のショートと同等ですが、全幅は1900mm以下に抑えました。
室内長に関して、海外仕様のハイエースはロングボディの場合、3395mmとされています。じつは、この数値は国内で売られるスーパーロングの3540mmを少し下まわります。
国内のスーパーロングはボンネットのないワンボックス形状なので、全長は海外のロングボディより500mm以上短くても、荷室は長く確保できるのです。
商用車は荷室の広さが重視されるため、海外仕様のハイエースを発売するとなれば、ボンネットを備えることによる空間効率の悪さがネックになりそうです。
ただしその一方で、ハイエースはビジネスだけでなく、趣味の空間としてプライベートに使うユーザーも多いです。販売総数のうち、約30%はプライベートな用途が占めるといわれます。
この用途では、ミニバンスタイルで走行安定性や快適性の優れた海外仕様のハイエースは、魅力的な選択肢になるでしょう。日本のミニバンでは三菱「デリカD:5」にしか搭載していないディーゼルターボを選べることも魅力です。
価格は、現在国内で販売されるハイエースのうち、2.8リッターのクリーンディーゼルターボを搭載したワイドボディのスーパーGLが370万4400円(消費税込)なので、海外仕様のハイエースは、400万円を超える可能性もあります。
大量に売れるクルマではありませんが、Lサイズのバンはラインナップがほとんどなく、購入しにくいことも事実です。海外仕様のハイエースは、潜在的なニーズによって注目されるかもしれません。
趣味で商用車を使うときに気になるのが、高速道路での走行安定性と、衝突安全性や乗り心地です。広い室内とあわせて、乗用車と同様の安定性も確保したいところ。海外仕様のハイエースなら、このニーズを満足させてくれるでしょう。
日本国内でも発売されるのか、注目されます。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
「大量に売れるクルマではありませんが」とお書きになっていますが、一度、この手のモデルの、国内と特に海外の市場規模を調べてみてください。結構大きいです。送迎乗用もそれなりに。だから、10年くらい前から、MB・VW・プジョー・ヒュンダイなどが続々とモデルを導入しています。