トヨタ新型「ハイエース」日本はなぜ出ない? 海外先行発売の新モデルは国内販売あるのか
トヨタを代表する商用車「ハイエース」の新型モデルが海外で発表されました。日本ではまだ発売されていないこのモデルは、今後導入されるのでしょうか。
海外のみ販売の新型「ハイエース」は国内にも導入されるのか?
トヨタ「ハイエース」の新型モデルとなる海外仕様が、2019年2月にフィリピンで披露されました。この新型ハイエースは、プラットフォームを刷新して衝突安全性や走行性能が向上しています。
しかし、現在日本国内では新型モデルへの切り替えはおこなわれていません。今後、新型ハイエースが日本で発売される可能性はあるのでしょうか。
海外で発表された新型ハイエースの開発テーマは「ハイエース・プライド」とされています。「安心感と満足感に加えて、誇りの感じられるハイエースを目指しました」とのことです。
エンジンはV型6気筒3.5リッターのガソリン(7GR型)と、直列4気筒2.8リッターのディーゼルターボ(1GD型)を用意しています。
気になるのは日本国内での販売でしょう。2019年中に「ハイエースレジアス」のような名称で発売されるという噂も聞かれます。
そこでトヨタの販売店に話を聞いたところ、次のようにコメントします。
「海外仕様のハイエースを国内で販売するという話は、いまのところトヨタから聞いていません。しかし、お客様から国内販売に関する問い合わせを受けています。
海外仕様のハイエースは、ボディが大柄な1ナンバー車になるので、おそらく販売の主力にはなり得ないでしょう。
従って、4ナンバーサイズの国内仕様のハイエースは継続して販売していきますが、もし海外仕様のハイエースが上級タイプの商用車として登場したら、新しいお客様を獲得できるかもしれません」
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海外仕様のハイエースが国内で販売される可能性を検討してみると、現時点で日本国内で売られるハイエースと海外仕様が根本的に違うのは、乗員やエンジンの位置と、プラットフォームです。
日本のハイエースはワンボックススタイルなので、前輪の上にエンジンがあり、さらにその上に前席が位置します。エンジンを収めるボンネットはなく、前席がボディの先端にあるため、荷室を極限まで長く確保することが可能です。
その代わりに、前席がボディの先端にあると、走行安定性では不利が生じます。前輪の上にエンジンと前席の乗員が位置するために、大きな荷重が加わるからです。
また、荷物を積まない状態で坂道発進するときは、駆動する後輪の荷重が極端に抜けるために、舗装路でも空転を生じて立ち往生することがあります。
ワンボックススタイルでは、乗員が衝突時などの不安を感じることも多いです。商用車の開発者は「とくに走行速度の高い欧州のお客様は、ボンネットのないボディ形状を好まない傾向が強いです」といいます。
そのため、トヨタがPSA(プジョー・シトロエン)と共同開発して、欧州で販売している商用車の『プロエース』は、ボンネットの内部にエンジンを収めるミニバン風のボディです。この形状なら安定性に優れ、ドライバーも不安を感じにくいです。
「大量に売れるクルマではありませんが」とお書きになっていますが、一度、この手のモデルの、国内と特に海外の市場規模を調べてみてください。結構大きいです。送迎乗用もそれなりに。だから、10年くらい前から、MB・VW・プジョー・ヒュンダイなどが続々とモデルを導入しています。